夏の花火大会と河川敷の長蛇の列
非常に蒸し暑い8月の夜8時頃、地元の大きな河川敷で開催された花火大会でのことだ。周囲は屋台の明かりと浴衣姿の見物客で溢れ返り、気温は30度を下回ることはなかった。私は川沿いの土手のベンチに座り、花火の大きな音を聞きながらかき氷を食べていた。……その時、少し離れた仮設トイレの長い列の近くで立ちすくんでいた女性が目に入った。
年齢は20代前半の女子大生風。薄い水色の華やかな花柄の浴衣を着こなし、足元は木製の下駄を履いていた。髪はすっきりとアップにまとめられ、手には小さな巾着袋を持っていた。最初はお友達と楽しげに話していたが、急にお腹を押さえるようにして無口になり、その場から動かなくなった。
彼女の様子がおかしいのはすぐに分かった。 両脚をぴったりと揃え、下駄のつま先に力を入れながら、内ももを擦り合わせるようにしてもじもじしているのだ。 冷たいビールやラムネを何杯も飲み、花火の熱気と人混みの中でトイレに行くタイミングを失った結果、膀胱が極限に達したようだった。 青ざめた顔には冷や汗がにじみ、きつく結んだ口元は小さく震えている。手は無意識に巾着袋で隠すようにして、浴衣の上から下腹部をぎゅっと押さえ込んでいた。
河川敷 of 仮設トイレまでは200メートル以上もあり、しかもそこにはすでに50人以上の長い行列ができていた。 見てはいけないと思いつつも、私は彼女の浴衣の裾の中で限界を迎えて震える脚から目が離せなくなり、私の心臓はドクンと激しく鼓動を刻んだ。
尿意の第ニ波が彼女を襲う。 彼女はついに耐えかねて、下駄を内股にハの字に傾け、両膝を強く押し付け合ったまま硬直した。 「うぅ……」と声にならない吐息を漏らし、額の汗を拭う余裕すらなく耐えている。
周囲は花火を見上げる人混みで大混雑しており、列に並んでも間に合わない。彼女は意を決したように友達の輪を抜け出し、お尻をかばうように内股のまま、土手のさらに奥にある暗い葦原の影へと長るようにして消えていった。 今でも花火の爆音を聞くたび、あの日の蒸し暑い風と、極限の我慢に耐えていた彼女の涙目を思い出して胸が締め付けられる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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