秋の牧場と遠い牛舎トイレ
爽やかな秋晴れの10月の午後1時半頃、高原にある有名な観光牧場でのことだ。気温は16度と過ごしやすく、多くの家族連れが羊と触れ合ったりソフトクリームを食べたりしていた。私は芝生の上に座り、カメラのレンズを調整しながらのんびりしていた。……その時、近くの柵の脇で立ちすくんでいた女性が目に入った。
年齢は20代半ばのOL風。白いローゲージのニットに、テラコッタ色のフレアロングスカートを穿いていた。足元は白いキャンバススニーカーを履いていた。最初は楽しそうに羊にエサをやっていたが、突然お腹を抱え込むようにして動きを止めた。
彼女の顔から、みるみるうちに血の気が引いていくのが遠目にも分かった。 立ち上がろうとした彼女だが、一歩を踏み出す瞬間にビクッと体を震わせ、内ももをすり合わせるようにして再び立ちすくんだ。 スカートの上から両手でお腹を強く押し当て、唇を強く噛みしめている。冷たい脂汗が額に浮かび、整った顔が苦痛で歪んでいる。間違いない、急激な腹痛と便意の波に襲われているのだ。
牧場 of トイレまでは約350メートル離れており、しかも今は一番混雑する時間帯で長い列ができていた。その逃げ場のない広大な放牧地という物理的な檻が、彼女を精神的にも追い詰めているようだった。 見てはいけないと思いつつも、彼女のスカートの下の震える脚と、漏れそうなのを必死で耐える不自然な前屈みの姿勢から目が離せなくなり、私の心臓はドクンと跳ね上がった。
便意の第ニ波が彼女を直撃した。 「うぅ……」と喉の奥で押し殺したような吐息が聞こえ、彼女はスニーカーの踵をカタカタと地面に打ち付けながら、お尻の筋肉を極限まで締め付けている。 同行者の女性が心配して声をかけるが、彼女は涙目で首を振るのが精一杯で、言葉を返す余裕すら失っているようだった。
ついに我慢の限界を迎えたのか、彼女は同行者の制思(制止)を振り切るようにして歩き出し、お尻をかばうように極端な内股のまま、放牧地の端にある古い牛舎の裏の林へと長る(這う)ようにして消えていった。 今でも秋の牧場に行くたび、あの時の彼女の限界の表情と、林の中に消えていった必死の後ろ姿を思い出して胸がキュンとする。
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