プロジェクト会議と逃げられない席
蒸し暑い七月の火曜日、午後三時すぎの都心オフィスビルの大会議室でのことだ。外資系クライアントとの重要な商談会議が行われており、冷房の冷気と張り詰めた沈黙が漂う中、私はプロジェクターの操作担当としてスクリーンの横に控えていた。最初の異変は、会議が開始されてから十分ほど経った頃だった。お腹の奥深くで、ゴロゴロと不穏な便意の第一波が走った。
昼食に食べた激辛の麻婆豆腐が、この重要な会議という極度の緊張と冷房の冷えによって、私の過敏な胃腸を直撃したのだ。説明が一段落するまであと二十分以上かかるスケジュールで、私は頭の中が真っ白になるのを感じた。
私はその日、上品な黒のテーラードジャケットに、タイトな膝丈スカート、薄手のベージュストッキングと七センチの黒ヒールパンプスを履いていた。髪は後ろできっちりとしたハーフアップにまとめ、真珠のクリップで留めていたが、その首筋にはだらだらと冷や汗が流れ落ち、ジャケットの襟元を濡らしていた。メイクは綺麗に仕上げていたが、お腹の激痛が走るたびに顔から血の気が引き、ファンデーションが浮き上がり、マスカラが滲んで涙目のようになっているのが自覚できた。タイトスカートの下で、ストッキングを履いた内ももをこれでもかと密着させ、両膝を交互に激しくもじもじと擦り合わせいる。
クライアントの役員たちがずらりと並ぶ中、会議を抜け出すことは許されないという強烈な社会的圧力が、私をデスクの椅子という檻に縛り付けていた。私は奥歯を噛み締め、時折「はぅ……っ」と熱く荒い吐息を漏らし、腰を低く落としてお腹を抱え込むようにして必死に括約筋の決壊を防いでいた。
見てはいけないと思つつも、自分のタイトスカートの下で強張る太も目の震えと、必死に耐えている様子から目が離せなかった。私の心臓はうるさく鼓動を刻み、喉の渇きを覚えるほどだた。パンプスのヒールを床にカツカツと不自然に響かせ、お尻の筋肉を極限まで締め付けていた。
会議がようやく終了した瞬間、私は挨拶もそこそこに、お尻をかばう極端な内股のまま、這うようにして会議室を飛び出して多目的トイレへと駆け込んでいった。便座に腰を下ろし、熱い毒素が一気に流れ出た時の、世界が救われたような解放感。今でも重要な会議があるたび、あの時の限界の震えと、室内に漂っていた焦燥の気配を思い出して胸がゾクゾクと熱くなるだた。
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