排泄物語

高所作業中の尿意ほど怖いもんはねえぞ

投稿者: 泥除けのタゴサク1分で読めます閲覧 1,2724.2(10件)

おれ自身の話だぞ。冬の現場で朝から鉄骨の上、地上15メートルで作業してた。吹きさらしの鉄骨。空気は凍ってるし、風は容赦ねえ。

寒いと尿意は近くなるのは職人の常識だ。朝、缶コーヒー2本飲んだのが失敗だった。朝礼も終わって、8時半くらいから本格的に鉄骨の上へ登ったんだけど、10時前からあの波が来たんだ。下腹が痛えのなんの。

高所ってのは降りるのも一仕事でな、安全帯を外して、腰の工具を確認して、昇降設備まで移動して、降りて、仮設まで歩いて、全部で15分コースだ。それもゆっくりな動きで。一歩間違ったら40メートルに落ちるからな。しかも作業の段取り的に今降りたら班全体が止まる。組まれてる鉄骨の位置があって、おれが抜けたら作業が崩壊するんだ。

おれは我慢を選んだぞ。だが寒風が吹くたびに尿意は強くなる。膝がガクガクしてきて、靴の中で足の指も丸くなってきた。これは安全の問題だと悟った。あと足を滑らせる可能性が上がるってわけだ。11時、もうダメだと思って、職長に「小便行かせてくれ」って叫んだら「早く行けバカヤロー、我慢して落ちたやつがいるんだぞ」って怒鳴られた。

降りて仮設に駆け込んで、人生で一番長い小便したぞ。体感2分だ。それから現場の朝はコーヒー1本にしてる。缶だけで我慢する。高いところで無理はするな。これは若いやつに必ず教えてるぞ。高所は排泄との闘いなんだ。

― この話は、これにて ―

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掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。

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