タクシー乗り場のジレンマ
秋の深夜0時半、冷たい風が吹き抜ける駅前のタクシー乗り場でのことだ。私は飲み会を終え、帰宅するために長いタクシー待ちの列に並んでいた。
……その時、私の二つ前に並んでいた女性の様子が目に入った。
彼女は20代後半の仕事帰りらしいOL風で、グレーのビジネススーツに、黒いタイトスカトを履いていた。髪はすっきりと後ろでまとめており、足元は黒いパンプスだ。
明らかにお酒による急激な尿意に襲われており、その場にじっと留まっていられない様子だった。
両膝をぴったりとくっつけ、内ももをすり合わせるようにして小刻みに足踏みを繰り返している。片手はビジネスバッグを下腹部に強く押し当てるように抱え、もう片方の手は拳を握りしめていた。パンプスのカカトを交互に浮かせ、激しく身悶えしている。
その姿を見た瞬間、私の心臓はドクンと高鳴り、彼女のスーツの腰回りと震える太ももから目が離せなくなった。
タクシーはなかなか来ず、列も進まない。彼女は「はぁ……っ、うぅ……」と苦しげな吐息を漏らし、お腹をギュッと押さえて背中を丸めていた。
見てはいけないと思うのに、私は息を殺し、彼女の限界の表情から目が離せなくなってしまった。
ついにタクシーが到着した瞬間、彼女は崩れ落ちるように中に滑り込んでいった。あの時の彼女の潤んだ瞳と必死な脚の動きは、今でも深夜のタクシーを待つたびに思い出される。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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