ダイニングバーの薄暗い非常階段
夏の夜10時半、賑やかなダイニングバーが入る雑居ビルの非常階段でのことだ。私は友人と飲むためにエレベーターを待っていたが、なかなか来ないため階段を使って降りることにした。
……その時、踊り場の物陰で立ち尽くしている女性が目に入った。
年齢は20代後半のOL風で、黒いタイトスカートに、上品なベージュのシルクブラウスを着ていた。髪は綺麗に整えられたボブカットで、足元は黒いパンプスだ。
しかし、彼女の様子は明らかに尋常ではなかった。
両膝をぴったりとくっつけ、内ももをすり合わせるようにして小刻みに足踏みを繰り返している。片手は非常階段の手すりを壊れそうなほど強く握りしめ、もう片方の手は下腹部をギュッと押しつぶすように当てていた。パンプスのヒールが、コンクリートの床をカツカツと不規則に叩く音が静かな階段室に響いている。
その姿を見た瞬間、私の心臓はドクンと跳ね、彼女の腰回りの強張りに視線が吸い寄せられた。彼女はビールを飲みすぎたのか、猛烈な尿意の限界を迎えているようだった。
彼女は「はぁ……っ、うぅ……」と苦しげな吐息を漏らし、背中を丸めていた。我慢の波が襲ってくるたびに、彼女の細い脚は激しく震え、スカートの裾が不自然に揺れていた。見てはいけないと思うのに、私は息を殺し、彼女の限界の表情から目が離せなくなってしまった。
ついに耐えかねたのか、彼女は手すりから手を離すと、すり足でビル内のトイレへと急いで戻っていった。
今でも夏の夜に雑居ビルの非常階段を通るたび、あの時ジタバタと足を震わせていた彼女の姿と、その時の張り詰めた興奮を思い出して胸が熱くなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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