大衆酒場の階段の身悶え
秋の夜9時半、サラリーマンや学生でごった返す大衆酒場でのことだ。私はトイレに行こうと席を立ち、通路の奥にある階段を上がって2階の個室へと向かった。
……その時、階段の踊り場で、手すりに寄りかかるようにして立ち尽くしている女性が目に入った。
年齢は20代後半のOL風で、グレーのビジネススーツに、タイトなネイビーの膝丈スカートを履いていた。髪はハーフアップにまとめられており、肩からはブランド物のハンドバグをかけていた。
しかし、彼女の様子は明らかに尋常ではなかった。
両膝をぴったりとくっつけ、内ももをすり合わせるようにして小刻みに足踏みを繰り返している。片手は手すりを壊れそうなほど強く握りしめ、もう片方の手は下腹部をギュッと押しつぶすように当てていた。パンプスのヒールが、コンクリートの床をカツカツと不規則に叩く音が静かに響いている。
その姿を見た瞬間、私の心臓はドクンと跳ね、彼女の腰回りの強張りに視線が吸い寄せられた。ビールを大量に飲んで急激な尿意に襲われたのだろうが、2階のトイレも混雑している。彼女は「はぁ……っ、うぅ……」と苦しげな吐息を漏らし、腰をくの字に曲げて耐えていた。
見てはいけないと思うのに、私は息を殺し、彼女の限界の表情から目が離せなくなってしまった。
ついに個室の扉が開いた瞬間、彼女は la 這うような内股の足取りで中に滑り込んでいった。あの時の彼女の涙ぐんだ目元と、震える膝の動きは今でも思い出される。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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