期末テストと鳴り響くチャイム
凍てつくような二月の第二木曜日、午前十時すぎの高校の二階教室でのことだ。期末テストの二日目、現代文の試験中で、教室の中にはシャーペンの芯が紙を削る音と、時折響く鼻をすする音だけが冷え切った空気の中に流れていた。試験開始から三十分が経過した頃、私の下腹部に鋭い尿意の第一波が突き刺さるように走った。今朝、冷え込み対策にと水筒に入れてきた温かいほうじ茶を、試験前にすべて飲み干してしまったのが完全に裏目に出てしまった。
私はその日、学校指定の濃紺のウールブレザーに、グレーの細かい千鳥格子柄のプリーツスカート、そして八十デニールの黒タイツに黒のハーフサドルローファーを合わせていた。髪は後ろで黒のヘアゴムできっちりと一本に結んでいたが、尿意の焦燥感から全身に噴き出した脂汗のせいで、後れ毛が首筋にじっとりと張り付いて不快感を高めていた。綺麗に整えていたはずの眉メイクは汗で滲み、ファンデーションはヨレて目の周りが涙で潤んでいるのが自分でもはっきりと自覚できた。
試験中に手を挙げてトイレに立てば、他の生徒全員の注目を浴びてしまい、生理現象で我慢できなくなったという羞恥心を味わうだけでなく、残り十五分のテスト時間を失うことになる。その社会的檻と焦りが、私を木製の椅子という名の拷問台に縛り付けていた。
尿意は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、膀胱は限界まで膨らんで下腹部がギシギシと悲鳴を上げていた。私は机の下で、プリーツスカートの裾を指先が白くなるほど強く握りしめ、タイツを穿いた内もも同士をこれでもかと密着させて擦り合わせた。ローファーのつま先を床に強く押し付け、カカトをせわしなく上下させながら、お尻と股の筋肉を極限まで締め付けた。お腹の奥が痛むたびに「あと五分、いやあと三分……」と狂ったように秒刻みの計算を繰り返し、神に祈り続けた。
恥ずかしさと、静まり返った教室の中で今にも漏らしてしまうのではないかという絶望的な恐怖が混ざり合い、耳の奥が熱くなって喉がカラカラに渇いた。自分の限界の太も目の震えと、スカートの裾が激しく揺れ動くスリルの中で、心臓は早鐘のように脈打っていた。
ようやく終了のチャイムが鳴った瞬間、私はお尻をかばう極端な内股の姿勢で立ち上がり、すり足で廊下へ飛び出してトイレへと滑り込んだ。便座に腰を下ろし、温かい液体が一気に放出された瞬間の、頭の芯がとろけるような凄まじい解放感は、今でも冬のテスト期間になるたびに下腹部をキュンと疼かせるほどだた。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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