忘年会シーズンの居酒屋トイレ前
冷たい雨が降る十二月の金曜日、午後十時すぎの賑やかな居酒屋でのことだ。忘年会シーズンということもあり、店内はサラリーマンや学生のグループで満席となっており、店の最奥にある唯一の男女共用トイレの前には長蛇の列ができていた。私は自分の順番を待つために、その狭い通路に並んでいた。……その時、私の二つ前に並んでいた女性の様子に微かな異変が生じたことに気がついた。
彼女は二十代半ばのOL風の女性で、上品な薄ピンクのアンゴラニットに、タイトな黒の膝丈スカート、そして黒のタイツに五センチのヒールパンプスを履いていた。髪は綺麗なハーフアップにまとめられていたが、その首筋にはだらだらと冷や汗が流れ落ち、ニットの襟元に染みを作っていた。
彼女はスマートフォンを握りしめたまま、バッグの持ち手をギュッと掴み、下腹部を押し潰すように体をくの字に折り曲げていた。タイトスカートの中で、タイツを履いた内ももをこれでもかと密着させ、両膝を左右に激しくもじもじと擦り合わせいる。冷たいビールやサワーを一気に飲み干したことで、急激な尿意の第一波が彼女の膀胱を直撃したのだろう。顔面からは血の気が完全に引いて白くなり、綺麗に施されたメイクは冷や汗で崩れ、ファンデーションが浮き上がり、マスカラが滲んで目の下が黒くなっているのが至近距離で見えた。
トイレは一つしかなく、前の利用者がなかなか出てこない焦りと、背後に並ぶ他の客たちからの視線。この逃げ場のない社会的状況が、彼女を極限の精神状態へと追い詰めていた。彼女は時折「はぅ……っ」と熱く荒い吐息を漏らし、腰を低く落としてお腹を抱え込むようにして必死に尿道の栓を守っていた。
見てはいけないと思つつも、彼女のタイトスカートの下で強張る太も目の震えと、必死に耐えている様子から目が離せなかった。私の心臓はうるさく鼓動を刻み、喉の渇きを覚えるほどだた。彼女はパンプスのヒールを床にカツカツと不自然に響かせ、お尻の筋肉を極限まで締め付けていた。
十分が経過した頃、彼女はついに限界を迎えたのか、「あっ……っ」と短い掠れた声を漏らし、列の途中で動きを止めてしまった。両手で完全に股間を強く押さえ、顔を真っ赤にして必死に耐えている姿は、今でもあの時の彼女の限界の震えを思い出して胸がゾクゾクとする。前の客が扉を開け、彼女を順番待ちの先に通すと、彼女はすり足で個室へと滑り込み、扉をバタンと閉めた。今でも賑やかな居酒屋のトイレ前に並ぶたび、あの時の彼女の歪んだ横顔と、必死に太ももを擦り合わせていた姿を思い出して胸が熱くなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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