沈黙の自習室と終わらない予備校講習
極寒の十二月の第二土曜日、午後五時すぎの有名予備校の自習室でのことだ。センター試験を目前に控え、室内は異常なほどの静寂とピリピリとした緊張感に包まれていた。私は難関大対策の英語の長文読解と格闘していたが、自習室に入る前に自販機で買った冷たい缶コーヒーを一気に飲み干したことが災いし、下腹部の奥深くで地鳴りのような便意の第一波が静かに走り抜けた。
私はその日、学校の冬用制服である厚手のウールセーラー服に、ネイビーのプリーツスカート、そして八十デニールの黒タイツと茶色のハーフサドルローファーを穿いていた。首元には赤いウールマフラーをきつく巻いていたが、便意の焦燥感から全身に噴き出した冷や汗のせいで首筋がじっとりと濡れ、セーラー服の襟元が皮膚に張り付いて息苦しかった。綺麗に整えていたはずの前髪は汗で額に張り付き、ファンデーションはヨレて目の周りが涙で黒ずんでいるのが自分でもはっきりと分かった。
この静まり返った自習室では、立ち上がって席を外すだけで周囲の受験生たちの鋭い視線を浴びることになり、生理現象で限界を迎えていることを悟られたくないという強烈な社会的羞羞心が、私を木製の椅子という檻に縛り付けていた。
便意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、下腹部がギシギシと痛むたびに括約筋は限界を叫んでいた。私は机の下で、プリーツスカートの裾を指先が白くなるほど強く握りしめ、タイツを穿いた内もも同士をこれでもかと密着させて激しく震わせた。ローファーのつま先を床に強く押し付け、お尻の筋肉を極限まで締め付けて耐えた。お腹の中で泥水が渦巻くような蠕動運動が起こるたびに「あと五分、この問題が終わるまで……」と頭の中で必死に計算を繰り返すが、焦りで頭が真っ白になった。
恥ずかしさと、この大衆の面前で漏らしてしまうのではないかという恐怖が混ざり合い、耳の奥が熱くなって喉がカラカラに渇いた。自分の限界の太も目の震えと、スカートの裾が不自然に揺れるスリルの中で、心臓は早鐘のように脈打っていた。
ようやく一時間のコマが終了した瞬間、私はお尻をかばう極端な内股の姿勢で立ち上がり、すり足で自習室を飛び出してトイレへと駆け込んだ。個室の便座に滑り込み、熱いものが一気に放出された瞬間の凄まじい解放感。今でも模試の独特な静寂を思い出すたび、あの時の冷や汗と股の奥がすくむような恐怖を思い出す。
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