厳粛な高校の卒業式
凍てつくような三月の第一金曜日、午前十時すぎの私立高校の体育館でのことだ。厳粛な雰囲気の中で卒業証書授与式が行われており、冷え切った空気の中に卒業生総代の答辞を読む声だけが響いていた。私は保護者席の後方に立っていたが、壇上に並んでいた卒業生の一人である杉本さんの様子に微かな異変が生じたことに気がついた。……その時、彼女の不自然な仕草が目に入った。
彼女は十八歳の卒業生で、学校の制服である紺色のブレザーに、チェックスカート、そして黒のタイツと茶色のローファーを穿いていた。髪は後ろでハーフアップにまとめられていたが、その首筋にはだらだらと冷や汗が流れ落ち、ブレザーの襟元を濡らしていた。
彼女は突然、両手でスカートの上から下腹部を強く押し当てるようにし始めた。チェックスカートの中で、タイツを穿いた内ももをこれでもかと密着させ、両膝を左右に激しくもじもじと擦り合わせいる。式典の前に緊張をほぐすために飲んだ温かい緑茶が完全に裏目に出たのだろう。顔面は完全に血の気が引いて白くなり、綺麗に施されたメイクは冷や汗で崩れ、涙目のようになっているのが見えた。
式典中であり、起立したまま一歩も動くことが許されないという強烈な社会的圧力が、彼女を整列という名の檻に縛り付けていた。彼女は奥歯を噛み締め、時折「はぅ……っ」と熱く荒い吐息を漏らし、腰を低く落としてお腹を抱え込むようにして必死に耐えていた。
見てはいけないと思つつも、彼女のチェックスカートの裾から伸びる、がくがくと震える太も目の動きと、限界の仕草から目が離せなかった。私の心臓はうるさく鼓動を刻み、喉の渇きを覚えるほどだた。彼女はローファーのつま先を床に強く押し付け、お尻の筋肉を極限まで締め付けていた。
式典が終了した瞬間、彼女はお尻をかばう極端な内股のまま、這うようにして更衣室の奥にある化粧室へと消えていった。今でも卒業式の独特な寂しさと冷え込みを思い出すたび、あの時の彼女の限界の震えと、室内に漂っていた焦燥の気配を思い出して胸がゾクゾクと熱くなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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