蒸し暑い放課後の特別補習
じっとりとした湿度に包まれた七月の第二火曜日、午後四時すぎの高校の物理準備室でのことだ。期末試験の赤点者対象の臨時の特別補習が行われており、室内には古びた扇風機が首を振る生温かい風の音と、教師が黒板にチョークを走らせる甲高い音だけが響いていた。私は窓際の席に座っていたが、補習開始から二十分が経過した頃、私の下腹部に鋭い尿意の第一波が突き刺さるように走った。補習前に喉の渇きを潤そうと、自動販売機で購入した冷たい五百ミリリットルのスポーツドリンクを一気に飲み干してしまったのが、この最悪のタイミングで完全に裏目に出てしまったのだ。
私はその日、学校指定のポリエステル混の夏用ライトグレーのプリーツスカートに、白い綿の半袖セーター、そして三本ライン of スクールソックスと茶色のローファーを合わせていた。髪は後ろでピンクのプラスチック製バレッタを使ってハーフアップにまとめていたが、尿意の焦燥感から全身に噴き出した脂汗のせいで、うなじの後れ毛がじっとりと皮膚に張り付いて不快極まりない。眉尻のメイクは汗で完全に滲み、アイシャドウが目の下にヨレてパンダのようになり、自分の顔が青ざめていくのがはっきりと自覚できた。
補習中に手を挙げてトイレに行きたいと申し出れば、居並ぶクラスメイトたちから一斉に視線を浴び、生理現象を我慢できなかった恥ずかしい奴として笑いものにされる。さらに、厳しい物理教師に「なぜ補習前に済ませておかなかったんだ」と叱責される社会的檻と恐怖が、私を硬いパイプ椅子に縛り付けていた。
尿意は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、膀胱は限界まで膨らんで下腹部がギシギシと悲鳴を上げていた。私は机の下で、プリーツスカートの裾を指先が真っ白になるほど強く握りしめ、ソックスを履いた内もも同士をこれでもかと密着させて擦り合わせた。ローファーのつま先を床に強く押し付け、カカトをせわしなく上下させながら、尿道の栓を極限まで締め付けた。「あと十分、この大問が解説し終わるまで……」と狂ったように秒刻みの計算を繰り返し、神に祈り続けた。
恥づかしさと、静まり返った準備室の中で今にも漏らしてしまうのではないかという絶望的な恐怖が混ざり合い、耳の奥が熱くなって喉がカラカラに渇いた。自分の限界の太も目の震えと、スカートの裾が激しく揺れ動くスリルの中で、心臓は早鐘のように脈打っていた。
ようやく補習終了のチャイムが鳴った瞬間、私はお尻をかばう極端な内股の姿勢で立ち上がり、すり足で廊下へ飛び出してトイレへと滑り込んだ。便座に腰を下ろし、温かい液体が一気に放出された瞬間の、頭の芯がとろけるような凄まじい解放感は、今でも夏の夕暮れになるたびに下腹部をキュンと疼かせるほどだた。
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