静かな歯科医院の待合室
冷え込みの厳しい二月の第二木曜日、午後六時半すぎの都心の歯科医院の待合室でのことだ。仕事帰りのサラリーマンやOLでソファはほぼ埋め尽くされており、空気清浄機の作音と消毒液の特有の匂いが漂う中、受付の奥からは「キィーン」という不快な治療音が響いていた。私は雑誌をめくりながら自分の名前が呼ばれるのを待っていたが、受付のすぐ斜め前のソファに座っていた女性の様子に、明らかな異変が生じていることに気がついた。……その時、彼女の不自然な仕草が目に入った。
彼女は二十代後半の非常にスマートなOLで、上質な黒のテーラードジャケットに、同素材のタイトな膝丈スカート、薄手のストッキングと七センチの黒ヒールパンプスを履いていた。髪は後ろできっちりとしたポニーテールにまとめていたが、その首筋にはだらだらと冷や汗が流れ落ち、ジャケットの襟元を濡らしていた。
彼女は突然、膝の上に置いていた大きなナイロン製のビジネスバッグを両手で強く抱え込み、それを下腹部を押し潰すように強く押し当てした。タイトスカートの中で、ストッキングを履いた内ももをこれでもかと密着させ、両膝を交互に激しくもじもじと擦り合わせいる。治療前に喉が渇いて冷たい水を待合室のサーバーで何杯も飲み干したのが完全に裏目に出てしまったのだろう。顔面は完全に血の気が引いて白くなり、綺麗に施されたメイクは冷や汗で崩れ、マスカラが滲んで目の下が暗くなっているのが見えた。
待合室は非常に静かで、名前を呼ばれて治療室に入るまでは席を外せないという強烈な社会的圧力が、彼女をソファに縛り付けていた。彼女は奥歯を噛み締め、時折「はっ……ん……」と熱く荒い吐息を漏らし、腰を低く落としてお腹を抱え込むようにして必死に尿道の栓を守っていた。
見てはいけないと思つつも、彼女のタイトスカートの下で強張る太も目の震えと、必死に耐えている様子から目が離せなかった。私の心臓はうるさく鼓動を刻み、喉の渇きを覚えるほどだた。彼女はパンプスのヒールを床にカツカツと不自然に響かせ、お尻の筋肉を極限まで締め付けていた。
十分が経過した頃、彼女はついに限界を迎えたのか、「あっ……っ」と短い声を漏らし、ソファの上で完全に動きを止めてしまった。両手で完全に股間を強く押さえ、顔を真っ赤にして必死に耐えている姿は、今でもあの時の彼女の限界の震えを思い出して胸がゾクゾクとする。受付の歯科衛生士が彼女の名前を呼んだ瞬間、彼女はお尻をかばう極端な内股のまま、這うようにして治療室ではなく化粧室へと滑り込んでいった。今でも歯科医院に行くたび、あの時の彼女の歪んだ横顔と、必死に太ももを擦り合わせていた姿を思い出して胸が熱くなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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