静寂のアートギャラリーと冷やされた床
肌寒い十月の第二火曜日、午後二時すぎの都心の美術館の展示室でのことだ。有名な画家展が開催されており、館内は絵画をじっくり鑑賞する人々で静寂に包まれていた。私は展示作品を順番に観ていたが、中央の展示ブースの前に立っていた女性の様子に、明らかな異変が生じていることに気がついた。……その時、彼女の不自然な仕草が目に入った。
彼女は二十代後半の非常に上品なオフィス街の女性で、上質な薄ピンクのアンゴラニットに、タイトな黒の膝丈スカート、そして薄手のストッキングと黒のパンプスを穿いていた。髪はハーフアップできれいに整えられ、真珠のネックレスをしていたが、その首筋にはだらだらと冷や汗が流れ落ち、ドレスの襟元を濡らしていた。
彼女は突然、持っていたブランド物のハンドバッグを両手で強く抱え込み、それを下腹部を押し潰すように強く押し当てした。タイトスカートの中で、ストッキングを履いた内ももをこれでもかと密着させ、両膝を左右に激しくもじもじと擦り合わせいる。入館前に喉の渇きを覚えたのか、冷たい緑茶を一気に飲み干したのが完全に裏目に出てしまったのだろう。顔面は完全に血の気が引いて白くなり、綺麗に施されたメイクは冷や汗で崩れ、マスカラが滲んで目の下が暗くなっているのが見えた。
展示室内は非常に静かで、少しでも大きな音を立てれば周囲の注目を浴びてしまうという強烈な社会的圧力が、彼女を展示ブースに縛り付けていた。彼女は奥歯を噛み締め、時折「はっ……ん……」と熱く荒い吐息を漏らし、腰を低く落としてお腹を抱え込むようにして必死に尿道の栓を守っていた。
見てはいけないと思つつも、彼女のタイトスカートの下で強張る太も目の動きと、必死に耐えている様子から目が離せなかった。私の心臓はうるさく鼓動を刻み、喉の渇きを覚えるほどだた。彼女はパンプスのヒールを床にカツカツと不自然に響かせ、お尻の筋肉を極限まで締め付けていた。
十分が経過した頃、彼女はついに限界を迎えたのか、「あっ……っ」と短い声を漏らし、絵画の前で動きを止めてしまった。両手で完全に股間を強く押さえ、顔を真っ赤にして必死に耐えている姿は、今でもあの時の彼女の限界の震えを思い出して胸がゾクゾクとする。彼女はお尻をかばう極端な内股のまま、這うようにして展示室を飛び出し化粧室へと消えていった。今でも美術館の静寂な空間に行くたび、あの時の彼女の歪んだ横顔と、必死に太ももを擦り合わせていた姿を思い出して胸が熱くなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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