冬のスキーバスと深夜の渋滞
凍てつくような二月の金曜日、午後十一時半すぎの関越自動車道を走る夜行スキーバスの車内でのことだ。週末のゲレンデに向かうスキー客で車内は超満員となっており、暖房の熱気と乗客の吐息で窓ガラスが白く曇る中、バスは事故渋滞のため本線上で完全に立ち往生していた。私は窓際の席に座っていたが、乗車前にロビーの自販機で購入した温かいココアを全て飲み干したのが完全に裏目に出てしまい、下腹部に鋭い尿意の第一波が突き刺さるように走った。
私はその日、上品な厚手のオフホワイトのケーブルニットに、タイトな黒のウールミニスカート、そして黒の八十デニールタイツと茶色のスノーブーツを穿いていた。髪は綺麗なロングヘアで、首元には赤のチェックマフラーを巻いていたが、尿意の焦燥感から全身に噴き出した冷や汗で額の生え際が濡れ、前髪が張り付いた。綺麗に施したはずのファンデーションが脂汗で浮き上がり、マスカラが滲んで涙目のようになっているのが自覚できた。
バスは満席で、次のサービスエリアまで一時間以上動かないという絶望的な状況と、周囲に他の乗客が密集しているという強烈な社会的圧力が、私を座席に縛り付けていた。
尿意は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、膀胱は決壊寸前の水風船のように膨らみ、下腹部がギシギシと痛む。私はミニスカートの下で、タイツを履いた内ももをこれでもかと密着させ、両膝を交互にすり合わせるようにして激しく震えさせた。ブーツのつま先に全体重をかけ、お尻の筋肉を極限まで締め付けて尿道の栓を守っていた。足の指先を限界まで丸め、全身の筋肉を硬直させて尿意を逃がそうとするが、お腹の奥の熱い圧力は高まる一方だった。
「あと十分、この渋滞が解消されるまで……」と、頭の中で狂ったように秒刻みの計算を繰り返し、祈り続けた。恥づかしさと、この満員バスの中で今にも漏らしてしまうのではないかという恐怖が混ざり合い、耳の奥が熱くなって喉がカラカラに渇いた。自分の限界の太も目の震えと、スカートの裾が不自然に揺れるスリルの中で、心臓は早鐘のように脈打っていた。
ついに限界に達し、私は立ち上がってお尻をかばう極端な内股の姿勢で運転席へ向かったが、バスのトイレは故障中という非情な現実が告げられ、私はその場で崩れ落ちそうになりながらも、必死に内股を交差させて耐えていた。今でも渋滞の赤いテールランプを見るたび、あの時の私の限界の震えと、密室に漂っていた焦燥の気配を思い出して胸がゾクゾクと熱くなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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