忘年会の座敷での監禁
冷たい雨が降る十一月の金曜日、午後九時過ぎのサラリーマンで賑わう老舗居酒屋の小上がりでのことだ。同期のメンバーたちとビールや日本酒を酌み交わし、仕事の愚痴で盛り上がっていた。しかし、冷たいアルコールが急速に私の胃腸を刺激したのか、下腹部の奥深くでゴロゴロと不穏な便意の第一波が走った。
居酒屋のトイレは男女共用が一つしかなく、すでに数人が並んでいるのが席からも見えていた。「この波が収まるまでなんとか耐えるしかない」と心の中で祈るように自分と言い交わしたが、それは終わりのない地獄の幕開けだた。
私はその日、上品な薄手のタートルネックニットに、タイトな黒の膝丈スカート、黒の薄手タイツにローファーを合わせていた。小上がりの座敷のため、正座や胡坐をかくたびにお腹が圧迫され、便意は一気に強さを増した。全身に噴き出した冷や汗で額の髪がベタつき、首元がじっとりと濡れて皮膚にはりつく。顔からは完全に血の気が引き、鏡を見ずとも土気色になっているのが自覚できた。
周囲の賑やかな笑い声という、自分の異変を誰にも知られたくない社会的状況が、私を肉体的にも精神的にも限界へと追い詰めていく。
タイツの中で両腿をぎゅっと交差させ、内もも同士を強く押し付け合って耐える。しかし、便意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、下腹部全体が引き裂かれるように痛む。「あと十分、会計が始まるまで……」と、頭の中で狂ったように秒刻みの計算を繰り返すが、隣の席の同僚が話しかけてくるたびに心臓が激しく脈打ち、焦りで思考が停止しそうになった。
恥ずかしさと、この静寂の中で今にも粗相をしてしまうのではないかという恐怖が混ざり合い、耳の奥が熱くなって喉がカラカラに渇いた。
ようやく会計が終わり、立ち上がった瞬間、お腹に激しい衝撃が走り、私はお尻をかばう極端な内股の姿勢で固まった。一歩歩くごとに、お尻の奥で熱い塊が出口を求めて激しく自己主張し、涙目で顔を歪めながら廊下のトイレへ駆け込んだ。便座に座り、お腹の毒素が一気に流れ出た時の、世界が救われたような解放感。今でも古い居酒屋の匂いを嗅ぐたび、あの時の冷や汗の冷たさと、股の奥がすくむような恐怖が鮮明によみがえるだた。
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