初夏の植物園の小径での遭難
日差しが眩しい五月の土曜日、午後二時前の都立植物園の大温室でのことだ。熱帯植物が茂る温室内は湿度と気温が非常に高く、ムッとするような熱気が立ち込めていた。私は温室内の木製ベンチで休んでいたが、その時、ヤシの木の案内板の前で立ち往生している素敵な女性が目に入った。
年齢は三十代半ばの上品なOL風。光沢のあるサテンのベージュブラウスに、膝上五センチほどのタイトな黒のスカート、精度ある薄手のストッキングに細いヒールパンプスを履いていた。髪はエレガントなハーフアップにまとめられ、細いゴールドのネックレスが印象的だった。しかし、温室内の冷たい飲料水の給水機で水を飲んだのが災いしたのか、彼女の様子に明らかな変調が生じ始めた。
彼女はタイトなスカートの上から、両手で股間のあたりを強く挟み込むようにし、内ももをこれでもかと密着させながら、ヒールのつま先だけで床を交互にトントンと叩き始めたのだ。綺麗に施されたメイクの隙間から、冷や汗がじわじわと滲み出て、おでこの前髪がベタりと張り付いていくのが至近距離で見えた。
同行の男性に話しかける彼女の声は微かに震え、きつく噛み締めた唇は完全に血の気が引いて白くなっていた。「あの、ちょっと……トイレ……」と言いかけたまま、次の瞬間、下腹部を襲った激しい尿意の波に耐えかねて、彼女は上体を深く折り曲げてしゃがみそうになった。
尿意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、彼女の膀胱を決壊寸前の水風船のように膨らませていた。彼女は思わず「くっ……っ」と声を漏らし、小さなハンドバッグをギュッと下腹部に押し当ててお尻の括約筋を極限まで締め付けていた。見てはいけないと思いつつも、彼女の太ももが限界の緊張でがくがくと震え、タイトなスカートの生地が激しく擦れ合う様子から目が離せなかった。私の心拍数は跳ね上がり、喉が乾いて息をするのも忘れるほどだた。
しばらくして、彼女はすり足のような不自然な足取りで、逃げるように温室外 of の化粧室へと消えていった。今でも温室の独特の湿気を感じるたび、あの時の彼女の限界の震えと、漂っていた切迫した空気感を思い出して胸がゾクゾクと熱くなるだた。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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