ゼミ合宿の夜、旅館の廊下で間に合わなかった私
初めて投稿します。誰にも言えなかったことなので、ここに書かせてください。大学4年の夏、ゼミ合宿で伊豆の旅館に泊まった時のことです。私は当時22歳、卒論のことで頭がいっぱいの、ごく普通の女子大生でした。
夜、先生の部屋で発表の講評会があり、緊張で水ばかり飲んでいました。講評会は予定を大幅に超えて23時まで続き、正座で膀胱が限界だったのですが、先生が私の卒論の話をしている最中に「お手洗いに」とは言い出せる空気ではありませんでした。膝の上で手を握りしめ、足の指をぎゅっと曲げてやり過ごしていたのを覚えています。他の同期の視線も気になり、自分だけ席を立つ勇気が出ませんでした。
ふいんき的に無理でした。時折、下腹に鈍い痛みが走り、そのたびに背筋を伸ばして深呼吸で誤魔化していました。解散した瞬間、廊下を早歩きしたのですが、大浴場前の共用トイレは同じゼミの子が2人待ち。部屋のトイレまで階段を上がる途中、浴衣だったのがいけなかったんだと思います。腰紐が体を締め付けて、余計に力が入らなくなっていました。緩んだ、と自覚した時にはもう止まりませんでした。頭が真っ白になって、その場に立ち尽くすことしかできませんでした。
階段の踊り場で、22歳にもなって、全部です。浴衣の裾と足元とスリッパがびしょ濡れになりました。じわりと広がる生暖かさと、それが冷えていく感覚。誰かが階段を上ってくる足音がしないか、その恐怖で頭がいっぱいでした。悔しくて悔しくて、涙が出ました。
幸い誰にも会わず、大浴場で浴衣ごと隠して処理しました。今でも正座で長い会議があると、あの夜の階段を思い出します。あの時の絶望感は、何年経っても薄れません。あの夜以来、私は水分の取り方に人一倍気を配るようになりました。就職活動の面接練習でも、開始前には必ずお手洗いに行くようになったのは、あの夜の教訓のおかげです。あの旅館にはもう二度と泊まることはないと思いますが、伊豆という地名を聞くだけで今も胸がざわつきます。
以上です。
― この話は、これにて ―
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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