排泄物語

「うちは我慢しない女」とか言ってた女、タクシー待ちの列で漏らす

投稿者: アゲハは我慢しない2分で読めます閲覧 4,3404.1(13件)

はい、今回は武勇伝じゃないやつです。笑って。

冬の金曜、六本木で女子会からのバー二軒目まで行って、飲み放題のカクテル調子乗って何杯もおかわりしたのが運の尽き。終電逃してタクシー待ちの列に並んだのが深夜一時半。この時点でうち、けっこう限界寄りだったんだけど、「まあ乗ったら十分だし」って軽く考えてたんよ。友達も同じくらいヤバそうな顔してたのに、二人とも意地張ってトイレ探そうとしなかったのがそもそもの間違い。そしたら金曜の六本木なめてた。列ぜんぜん進まない。二十分経過でうちの膀胱、警報レベルMAX。太もも寄せて、コート押さえて、貧乏ゆすりで気をまぎらわせるしかなかった。冷たい夜風が吹くたびに、下腹の圧がひと段階上がる気がしてた。

いつもなら「物陰行ってくる」って消えるとこなんだけど、六本木の交差点付近、物陰ぜんぶ人いるの。カップルとか客引きとか。野外派のうちでも、さすがに衆人環視の中ど真ん中では無理じゃん。列の先頭を数えて、あと何組、あと何分、って計算しながら、下腹の波が来るたびに息を止めて耐えた。手のひらが変な汗かいてた。友達との会話も上の空で、相槌だけ返してた気がする。

近くのコンビニまで走ろうかとも考えたけど、列離れたら二度と戻れない気がして、結局その場に踏みとどまった。この判断が結果的に裏目に出たわけなんだけど、その時のうちは、あと少しだけなら耐えられるって謎の自信があったんよね。膝を寄せて、太ももに全力で力入れて、貧乏ゆすりでなんとか気を紛らわせてた。

で、我慢に慣れてない女がどうなるかっていうと、あっけないもんです。列があと三組ってとこで、寒風がびゅって吹いた瞬間、体がゆるんだ。あ、って思った時にはタイツの中あったかいの広がってた。止めようとする間もなかった。じわじわじゃなくて、一気に。膝から下の感覚がなくなるくらいの脱力感と一緒に、頭の中が真っ白になった。

ロングコートだったから外からはセーフ、でも中は全損。列の前後の人にバレてないか、心臓がバクバクしながら数秒その場に立ち尽くした。誰も気づいてない。それが分かった瞬間、安堵と情けなさが同時に押し寄せてきた。

タクシー乗って、シート濡らさないようにコート下に敷いて、窓の外見ながら真顔で帰った二十四歳の冬。運転手さん気づいてたかな。信号待ちのたびに、隣の友達がちらちらこっちを見てくる視線が地味にキツかった。

家着いてお風呂入りながら、なんであの時我慢できんかったんやろって真剣に考えた。でも考えれば考えるほど、あの瞬間の「もう無理」感が蘇ってきて、これはもうしゃあないなって結論に落ち着いた。友達には結局あの日のこと話してないけど、たぶん薄々気づいてる気がする。

我慢しない主義って、我慢する筋肉が育たないってことなんだと学びました。次はちゃんと早めにトイレ行っとく。それだけは決めた。この冬の教訓、たぶんまた同じこと繰り返す気しかしないけど、一応心には留めておく。おしまい。

― この話は、これにて ―

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掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。

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