排泄物語

全国模試の運営中、職員の私がトイレに行けなくなった話

投稿者: 自習室の主(ぬし)2分で読めます閲覧 2,2333.2(9件)

お恥ずかしい話でございますが、今回は私自身の失敗談でございます。年に数回、校舎で全国模試を実施いたします。職員は受付、教室設営、答案回収と朝から晩まで動き通しで、トイレのタイミングを逃しやすいのでございます。

昨年の秋の模試の日、私は朝コーヒーを2杯飲んだのが運の尽きでございました。試験開始後は廊下の監督補助に立たねばならず、次の休憩まで80分。開始20分で尿意が参りまして、40分の時点で足踏みが始まり、これが第一波でございました。一度は落ち着いたものの、60分を過ぎた頃には壁の時計だけを見て生きておりました。廊下を歩く生徒の足音一つひとつが、やけに大きく響いた記憶がございます。

その後、より強い第二波が押し寄せ、下腹部が鈍く痛み出しました。冷や汗が背中を伝う感覚もございました。しかし休憩時間になった瞬間、受験生が一斉にトイレに並ぶのでございます。職員が割り込む訳にもいかず、私は列の最後尾で、営業スマイルのまま膝を震わせておりました。前に並ぶ生徒たちの何気ない世間話さえ、その時ばかりは長く感じられました。

列に並びながら、私は「あと五人、あと四人」と胸の中で数えておりました。生徒が一人個室から出てくるたび、安堵と焦りが同時にこみ上げてまいります。腰を少し反らせては戻し、太ももに力を込めては緩め、あらゆる姿勢を試しながら耐えておりました。監督補助という立場上、その場から動くこともできず、まさに社会的な檻に閉じ込められた心地でございました。

個室に入れたのは限界から数えて3度目の波の途中で、正直に申しますと、下着に数滴の被害がございました。膝から力が抜けるような、恐怖と安堵が入り混じった感覚を今でも覚えております。制服のズボンが濃紺で本当に良かったと思った次第でございます。個室から出て手を洗いながら鏡を見た自分の顔は、まるで一仕事終えたかのように疲れ切っておりました。以来、模試の日の朝はコーヒーを断っております。あの日の壁掛け時計の秒針の遅さは、今でも夢に見ることがございます。事務職員として長く勤めておりますが、あれほど時間の流れを恨めしく思った日はございません。

以上でございました。

― この話は、これにて ―

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掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。

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