学食の搬入口で見た、忘年会帰りの女性教授の立ちション
生協で働いてもう8年になるんだけど、忘れられないのが去年の12月のこと。教授会のあとの忘年会シーズンでさ、夜9時すぎに学食の裏で搬入用の段ボールを潰してたんだよなあ。師走の冷え込みで、吐く息が白くなる時間帯だった。月は既に高く、学園全体が静かな夜のベールに包まれてました。
そしたら搬入口の脇、自販機の陰のとこに人の気配がある。最初は酔っ払いの学生かなと思ったんだよ。でも目を凝らしたら、昼にいつも日替わりA定食を頼みに来る文学部の先生でさ。60近い女性教授で、いつも上品なグレーのコートを着て、髪をきっちり結ってる人なんだよなあ。その先生が、夜の冷気の中で、こんな形で現れるとは。
その先生が壁に片手をついて、コートの裾を持ち上げて、豪快に立ちションしてんの。こっちは段ボール抱えたまま固まっちゃって、声も出せなかった。夜の静けさのせいで、その音だけが妙にはっきり聞こえてさ。心臓がドクドクいって、見ちゃいけないってわかってるのに目が離せなかったんだよなあ。その光景は、僕の脳裏に映像として焼き付きました。
あの高名な文学部の教授が、このような形で現れるとは。講演で「日本文化と排泄」について語った彼女が、まさかこのような場面を自分に見させるとは。その対比があまりにも鮮烈でした。風のせいで、彼女の髪が少しなびきました。通常、見慣れた学園の光景が、一瞬で別の世界へと変わったのです。
先生、終わったあとにこっちに気づいて、涼しい顔で「や、どうも」って会釈して帰ってった。どうもじゃないんだよなあ。こっちは段ボールを抱えたまま数秒動けなかった。その後、彼女の後ろ姿を見つめながら、人間というものの複雑さについて考えていました。
次の日、いつも通り講買の前を通ってA定食を食べに来たけど、俺はもう普通の顔で「大盛りにしときますね」って言うしかなかった。先生も何事もない顔で「お願いね」って。あの夜の光景だけが俺の中に残っちゃって、A定食を出すたびに思い出しちゃうんだよなあ。その距離感、その背中、その流れ落ちてくる音、全部が記憶に焼き付いてます。
トイレ、食堂のすぐ横にあるんだけどなあ。教授とも なると、酒が入ると意外とワイルドになるんだよなあ。あるいは、大学という秩序の中で抑圧されていた本能が、夜の闇と酒に解放されるんだろうか。そういう意味では、人間は皆平等なんだなと感じたのも本当のところです。以上、オチはないです。
― この話は、これにて ―
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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