排泄物語

地下書庫の蔵書点検で、司書の私が本より先に限界になった話

投稿者: 閉架書庫の埃1分で読めます閲覧 1,6103.3(6件)

年に一度の蔵書点検の時期、司書は地下の閉架書庫に半日籠ることになります。これは昨年10月、私自身の話でございます。地下2層の書庫は携帯の電波も届かず、トイレは地上階まで階段で4分。作業は2人一組で、抜けるときは声を掛け合う決まりです。その決まりが、私の悲劇を生み出しました。

その日の相方は年配の非常勤の方で、黙々と背表紙を照合する背中に「お手洗いに」と言い出すタイミングを、私は完全に見失っておりました。朝に飲んだほうじ茶のポットが恨めしく思い出されました。読みかけの本を閉じられないまま物語だけが進んでいくような、そんな下腹の重さが2時間続きました。その重さは時間とともに増していきました。

書架の間で在庫リストを持つ手が冷たくなり、額にはうっすら汗もにじんでまいりました。棚と棚の隙間を歩くたび、下腹の圧が波のように押し寄せては引いていくのを感じておりました。その波は一定ではなく、ある時は穏やかに、またある時は急激に襲ってきました。相方に声をかけようと息を吸っては、また飲み込む、その繰り返しでございました。誰も来ない地下の薄暗さが、その我慢を倍加させました。

13時の休憩の鐘でようやく解放されて、階段を駆け上がりました。その駆け上がりは、恐らく地下2層の館内アナウンス以来の速度でございました。個室に入った瞬間の安堵は、絶版だと諦めていた本が寄贈で戻ってきた時の気持ちに少し似ています。膝から力が抜けるような、そんな解放感でございました。その解放感の中で、自分の職業人生における新しい学びを得ました。

以来、点検の朝はお茶を一杯までと決めました。書庫の静けさは、我慢の音まで響かせる気がするのです。その音は、誰かの記憶に永遠に残るのです。

― この話は、これにて ―

この話を評価する

平均 3.3(6件)

掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。

閉架書庫の埃」の他の話

4.271閲覧 1,842

試験期の夜、多目的トイレの前で立ち尽くした女子学生

試験期の図書館は満席の緊張で、空気が乾いた紙のようにぴりぴりしております。2月初旬の夜9時ごろのことでした。真冬の冷気が窓際から伝わり、館内は静寂に包まれていました。1階の女子トイレが混み合い、廊下の奥の多目的トイレには「故障中」の貼り紙が…

3.756閲覧 995

閉館10分前、書庫から駆け出した女子院生の結末

図書館という場所は、静けさと引き換えに人の緊急事態がよく響くところでございます。1月の試験期、閉館22時の10分前のことでした。その日は雪も積もり、屋外は特別な静寂に包まれていました。地下の閉架書庫から、修士2年の女性がものすごい勢いで階段…

関連する話

3.3305閲覧 1.5万

【観測記録・夏】花火大会の帰り道、駅までもたなかった女性の限界

8月2日、隅田川花火大会。晴れのち薄曇り、風やや強し。打ち上げ終了直後の帰路の混雑は毎年感測しているが、今年も駅までの道は歩行速度が時速1キロを切る飽和状態であった。この「動けない群衆」こそ、限界事例の多発地帯である。火薬の匂いがまだ夜気に…

4.2315閲覧 9,013

私の観測ポリシーについて――覗かない・つけない・撮らない

本日は事例報告ではなく、当方の観測方針について記す。この投稿サイトで私の記録を読んでくださる方が増えたようなので、誤解のないよう一度明文化しておきたい。祭り、花見、花火大会、忘年会――季節ごとに現場は変わるが、私が見ているものはいつも同じ、…

4.7406閲覧 7,273

お盆の高速三十キロ渋滞、路肩の茂みへ下りた私を責めないでください

お盆の帰省ラッシュの中央道、三十キロ渋滞の只中でのことでございます。渋滞にはまる前、談合坂のサービスエリアに寄るつもりが、駐車場入口まで大行列で断念いたしました。それが運の尽き。車列は一時間で三キロしか進みません。カーナビの渋滞情報が真っ赤…

読むだけ、で終わらせない

排泄プレイが好きな女の子は、本当にいる。

aune(アウネ)は、性癖を打ち明けてつながるマッチングサービス。「排泄系が好き」と公言している女の子が実際に登録しています。体験談を読むだけじゃなく、あなた自身の体験をつくりに行きませんか。プレイ相手を探すなら、最初から性癖が一致する相手と。

auneで排泄好きの相手を探す

PR・広告リンクを含みます