上司との席での日本酒の罠
冬の夜9時半、私は会社の上司や役員たちとの懇親会に参加していた。敷居の高い和食割烹で、お膳を囲みながら冷えた高級な日本酒を何杯も注ぎ合って盛り上がっていた。
最初の異変は、仕事の熱い議論が繰り広げられる中で訪れた、下腹部をぎゅっと圧迫するような鋭い尿意だった。
「主賓や役員の方々が真面目に話している最中に席を外すのは失礼にあたる……」という社会的な檻が私を縛り付けた。
しかし、日本酒の強力な利尿作用によって、私の膀胱はあっという間に限界に達した。冷たい汗が全身から吹き出し、体中の毛穴が開くような鳥肌が立つ。私は座布団の上で両脚をきつく交差させ、内ももをこれでもかと擦り合わせた。
尿意は波のように押し寄せ、次の波が来たら耐えられないかもしれないという極限の恐怖が襲う。焦りと恥ずかしさで心拍数が限界まで上がり、喉が渇きと耳の熱さが異常に高まっていく。
ようやくお開きとなり、全員が立ち上がった瞬間、下腹部への衝撃で私の膝がガクガクと笑い、その場に固まってしまった。
私は不自然な内股のまま、会計を待つ間に廊下の奥にあるトイレへ駆け込んだ。個室に入り、ようやく用を足せたときの、あの全身の細胞が弛緩するような解放感は忘れられない。少し恥ずかしかったが、そのスリルにどこか高揚している自分もいた。
今でも日本酒の香りを嗅ぐたび、あの時の冷や汗と、座布団の上で必死に震えていた自分の足を思い出して股の奥がすくむ。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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