野外フェスの開場待ちの朝の列
夏の初めの午前8時前、私は山の中で開催される野外フェスの入場ゲート前の列にいた。気温はすでに26度を超え、強い日差しが照りつける中で開場を待つ大勢のファンで埋め尽くされていた。 最初の異変は、列に並んで1時間が経過した頃の、下腹部を突き刺すような軽い尿意だった。 「開場まであと30分……これくらいなら大丈夫」 そう軽く考えていたが、並ぶ前に水分補給のために一気飲みした冷たい緑茶が、完全に仇となった。
列は入場待ちのファンでぎし(ぎっしり)と囲まれており、一度列を抜けると最後尾から並び直さなければならない。その同行者への申し訳なさと、お目当てのバンドの最前列を逃す社会的プレッシャーが私を縛り付けた。 しかし、尿意の波は容赦なく第ニ波となって襲いかかってきた。 冷たい冷や汗が背中を伝い、全身の毛穴が開くような鳥肌が立つ。
「ここで漏らしたら、フェスを楽しむどころではない……」 恥ずかしさと焦りから、心臓が爆発しそうなほど高鳴り始める。 ショートパンツの下で、両足をぎゅっと交差させ、内もも同士を強く押し付け合った。 お囃子のようなBGMが響く中、呼吸が浅くなり、足元がガタガタと震えて立っているのさえ辛い。
限界が近づくにつれ、少しでも圧迫を逃がすために腰を浮かせ、身を捩る。 「神様、早く列を進めてください……」 心の中で何度も祈るが、周囲の楽しそうな声が私の焦りを倍増させる。括約筋が決壊寸前のダムのようになり、少しでも力を抜けば温かいものが太ももを伝ってしまいそうだった。
ようやく列がゲート横の林に面したエリアに達した瞬間、私は我慢の限界に達し、同行者に「ちょっとごめん!」と言い残して列を飛び出した。 人気の途絶えた仮設フェンスの影の木陰に滑り込み、ショートパンツを引き下げて温かいものを一気に解放した。 熱いものが流れ出した瞬間のあの全身の力が抜ける感覚と、見つかるかもしれないという極限のスリルは今でも忘れられない。 今でも夏の朝風を直接肌に感じるたび、あのフェンスの影での冷や汗と、股の奥がキュンとする痛みを思い出す。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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