秋の渓谷と冷たい水音の罠
紅葉が見頃を迎えた10月の午前11時過ぎ、私は奥多摩の美しい渓谷沿いにある遊歩道を散策していた。気温は12度と低く、冷たい川風が吹き抜ける中、重いバックパックを背負って歩いていた。 最初の異変は、急な階段を登りきった直後の、下腹部を雑巾のように激しく絞られるような突然の便意だった。 「中間地点の休憩所まであと30分……それまで持ってくれ」 そう自分に言い聞かせて歩を進めたが、朝に食べた冷たい牛乳が、冷え切った身体に完全に仇となった。
渓谷の遊歩道は崖沿いに作られており、一度入ると途中でエスケープする道はない。その逃げ場のない崖の上という物理的な檻が、私の便意をさらに加速させた。 最初はお腹をさすってやり過ごそうとしたが、無情にも第ニ波の朝(激しい)便意が下腹部を激しく襲った。 冷たい脂汗が額からタラリと流れ、全身に鳥肌が立つのを感じる。
「ここで漏らしたら、山の中で遭難したも同然だ……」 恥ずかしさと焦りから、心臓が爆発しそうなほど高鳴り始める。 防寒用のトレッキングパンツの中で、両足をぎゅっと交差さえるようにして括約筋を極限まで締め付けた。 川の水音が響くたびにお腹の中で冷たい蛇口が開いたような感覚になり、頭が真っ白になって景色が全く頭に入ってこない。
限界が近づく逆(つれ)に、歩くこと自体が困難になっていった。 お尻の筋肉を限界まで締めつつ、少しでも圧迫を逃がすために上体を前に倒し、膝を震わせながら耐え忍ぶ。 「神様、お願いだから痛みを引かせてください……」 心の中で何度も祈るが、便意の波は容赦なく私の腸を締め付け、括約筋が決壊寸前の水門のようになり、限界の熱さが襲ってきた。
ついに我慢の限界を悟り、私は遊歩道から少し外れた大きな岩の影へと踏み込んだ。 周囲を気にしながらパンツを引き下げ、冷たい枯れ葉の地面に向けて全てを一気に解放した。 熱いものが流れ出した瞬間のあの全身の余分な力が抜ける感覚と、後ろめたさに満ちたスリルは今でも忘れられない。 今でも川のせせらぎを聞くたび、あの岩陰での極限の恐怖と、股の奥がキュンとする痛みを思い出す。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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