冬のスケートリンクと長い靴脱ぎ
氷風が吹き抜ける12月の午後3時半頃、私は屋外の特設スケートリンクにいた。気温は4度近くまで下がり、リンクを取り囲むイルミネーションが点灯し始めていた。 最初の異変は、滑り始めて1時間が経過した頃の、下腹部を突き刺すような鋭い尿意だった。 「あと1周滑ったら上がろう……それくらいなら大丈夫」 そう自分に言い聞かせたが、冷たいリンクの氷から伝わる冷気が、完全に身体に仇となった。
スケート靴を履いたままではリンク外のトイレに入ることはできず、靴を脱ぐには複雑な紐をほどかなければならない。その煩わしさと時間の檻が、私の膀胱をさらに刺激し始めた。 最初はお腹をさすってやり過ごそうとしたが、無情にも第ニ波の猛烈な尿意が下腹部を激しく襲った。 冷たい冷や汗が額からタラリと流れ、全身に鳥肌が立つのを感じる。
「ここで漏らしたら、スケート場全員の前で一生の恥だ……」 恥ずかしさと焦りから、心臓が爆発しそうなほど高鳴り始める。 厚手のタイツの中で、両足をぎゅっと交差さえるようにして括約筋を極限まで締め付けた。 滑る振動がお腹の中で冷たい蛇口を開いたような感覚になり、頭が真っ白になって氷の上が全く頭に入ってこない。
限界が近づく逆(つれ)に、歩くこと自体が困難になっていった。 お尻の筋肉を限界まで締めつつ、少しでも圧迫を逃がすために腰を浮かせ、身を捩る。 「神様、早く靴を脱がせてください……」 涙目でベンチへ進むが、靴の紐をほどく時間は信じられないほど遅く進む。括約筋が悲鳴を上げ、決壊寸前の水門のように今にも熱いものが漏れ出しそうだった。
ついに我慢の限界を悟り、私は靴を履いたままよろよろとリンク脇の雪山の影へと踏み込んだ。 周囲を気にしながらタイツを引き下げ、冷たい雪に向けて全てを一気に解放した。 熱いものが流れ出した瞬間のあの全身の余分な力が抜ける感覚と、後ろめたさに満ちたスリルは今でも忘れられない。 今でも冬の冷たい風を直接肌に感じるたび、あの雪山の影での極限の恐怖と、股の奥がキュンとする痛みを思い出す。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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