夏の登山道と消え去った避難小屋
真夏の8月の午前11時頃、私は標高1500メートルの山道を登っていた。気温は26度と日差しが強く、汗をかきながら急な坂道を進んでいた。 最初の異変は、山頂まであと約2キロの尾根沿いでの、下腹部を雑巾のように激しく絞られるような突然の便意だった。 「朝に食べた高原ソフトクリームが冷えたのかな……」 突然の激しい腹痛に、私はザックを背負ったままその場に立ち止まってお腹を抱え込んだ。
尾根道にはもちろんトイレなどなく、次の避難小屋まであと45分は登らなければならない。その逃げ場のない大自然の檻が、私の便意をさらに加速させた。 最初はお腹をさすってやり過ごそうとしたが、無情にも第ニ波の朝(激しい)便意が下腹部を激しく襲った。 冷たい冷や汗が額から流れ落ち、全身がガタガタと震え始めるのを感じる。
「ここで漏らしたら、山の中で恥ず死にしてしまう……」 恥ずかしさと焦りから、心臓が爆発しそうなほど高鳴り始める。 トレッキングパンツの中で、お尻の筋肉を極限まで締め付け、内もも同士を強く押し付け合った。 お腹の奥がゴロゴロと鳴るたび、頭が真っ白になり、一歩前に進むことさえ恐怖に変わる。
限界が近づく逆(つれ)に、立ち止まっていること自体が耐えがたい苦痛に変わる。 少しでもお腹への圧迫を逃がそうと上体を前に倒し、膝を震わせながら耐え忍ぶ。 「神様、お腹の痛みを引かせてください……」 心の中で何度も祈るが、便意の波は容赦なく私の腸を締め付け、括約筋が決壊寸前のダムのようになり、限界の熱さが襲ってきた。
ついに我慢の限界を悟り、私は登山道から大きく外れ、斜面にある大きなハイマツの茂みの影へと滑り込んだ。 周囲の登山客が来ないことを祈りながら、パンツを脱ぎ下ろして一気にすべてを排出した。 冷たい山の風が露出したお尻を通りぬける中での、あの天にも昇るような解放感とスリルは、今思い出しても股の奥がキュンとする。 今でも山登りの筋肉痛を感じるたび、あのハイマツの影での極限の我慢と、全身がとろけるようなスリルを昨日のことのように思い出す。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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