秋の古庭園と冷たい石畳
紅葉が美しい11月の午後2時前、私は京都の山奥にある歴史ある古寺の境内にいた。気温は12度と低く、冷たい川風が吹き抜ける中、長い石段を一人で登っていた。 最初の異変は、本堂を参拝した直後の、下腹部を突き刺すような鋭い尿意だった。 「山門の茶屋まであと20分……これくらいなら大丈夫」 そう自分に言い聞かせ石段を下り始めたが、お寺の休憩所で飲んだ冷たいほうじ茶が、冷え切った身体に完全に仇となった。
境内は歴史的景観の保護のためトイレの設置がなく、一度参道に入ると途中でエスケープする道はない。その物理的な檻が、私の膀胱をさらに刺激し始めた。 最初はお腹をさすってやり過ごそうとしたが、無情にも第ニ波の猛烈な尿意が下腹部を激しく襲った。 冷たい冷や汗が額からタラリと流れ、全身に鳥肌が立つのを感じる。
「ここで漏らしたら、お寺の境内で一生の恥を晒すことになる……」 恥ずかしさと焦りから、心臓が爆発しそうなほど高鳴り始める。 ニットのロングスカートの下で、両足をぎゅっと交差さえるようにして括約筋を極限まで締め付けた。 風が吹くたびにお腹の中で冷たい蛇口が開いたような感覚になり、頭が真っ白になって景色が全く頭に入ってこない。
限界が近づく逆(つれ)に、歩くこと自体が困難になっていった。 お尻の筋肉を限界まで締めつつ、少しでも圧迫を逃がすために腰を浮かせ、身を捩る。 「神様、早く出口を見せてください……」 涙目で砂利道を進むが、石段の段差が膀胱に響く。括約筋が悲鳴を上げ、決壊寸前の水門のように今にも熱いものが漏れ出しそうだった。
ついに我慢の限界を悟り、私は人通りの途絶えた参道脇の竹林の奥へと踏み込んだ。 周囲を気にしながらスカートをたくし上げ、枯れ葉の積もった地面に向けて全てを一気に解放した。 熱いものが流れ出した瞬間のあの全身の余分な力が抜ける感覚と、後ろめたさに満ちたスリルは今でも忘れられない。 今でも古寺の冷たい石段を見るたび、あの竹林の中での極限の恐怖と、股の奥がキュンとする痛みを思い出す。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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