排泄物語

満員電車の憂鬱

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真夏の朝8時、冷房の効きが悪い満員電車でのことだ。私は出勤のため、ドア付近の窮屈なスペースに押し込れまていた。 ……その時、斜め前に立つ女性が目に入った。

年齢は25、6歳だろうか。清潔感のある水色のブラウスに、膝丈のグレーのタイトスカート。足元は5センチほどの黒いパンプスで、いかにも仕事に向かう真面目そうなOLといった印象だった。肩にかけた小さなレザーバッグの紐を, 両手でギュッと握りしめている。 最初は気にも留めていなかったが、ふと彼女の様子がおかしいことに気づいた。

小刻みに震えているのだ。 電車が揺れるたび、彼女はヒールのつま先にぐっと力を込め、内ももをこれでもかと擦り合わせている。膝が小刻みに笑っているのが、少し離れた位置からでも分かった。 綺麗な顔は青ざめ、きつく結んだ唇はわずかにワナワナと震えている。間違いない、彼女は猛烈な便意と戦っている。

その瞬間、私の心臓はドクンと大きく跳ねた。 見てはいけないと分かっているのに、彼女の苦悶の表情から目が離せなくなってしまった。 「次の駅まであと3分……」私はスマホを見るふりをして、心の中でカウントダウンを始めた。

彼女の我慢には波があるようだ。 一定ではないその波が引いている時は、フッと力が抜けたように肩を落とし、浅く息を吐き出している。しかし、より強い第二波が襲ってくると、瞬時に背筋がピンと伸び、内股に恐ろしいほどの力が入る。 波の間隔がどんどん縮まっているのは、彼女の切羽詰まった表情から明らかだった。

しかし、無情にも電車が「信号確認のため」というアナウスとともに急ブレーキをかけた。 「っ……!」 声にならない悲鳴が聞こえた気がした。彼女は持っていたバッグを、下腹部にギュッと押し当てる。 スカート越しにも、括約筋を限界まで締めているのが伝わってくる。決壊寸前のダムを、己の精神力と脚力だけでギリギリ保っている状態だ。

額にはじわりと冷や汗が浮かび、乱れた前髪が張り付いている。 私は息をするのも忘れ、彼女のスカートの裾を食い入るように見つめていた。 もし今ここで音を立てて崩れてしまったら……そんな妄想が膨らみ、耳の奥がカッと熱くなるのを感じた。ああ、可哀想に、でも、もっと見ていたい。

3分ほどして電車は再び動き出し、ようやく次の駅のドアが開いた。 彼女は弾かれたようにホームへ飛び出し、ヒールを盛大に鳴らして、いや、少し引きずるようにしてトイレの方向へ消えていった。

今でも夏の朝に水色のブラウスを見るたび、あの日の限界と戦っていた彼女の蒼白な顔と、冷や汗の匂いを思い出して苦しくなる。私の中に深く刻み込まれた、忘れられない光景だ。

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