静まり返った大講儀室での攻防
凍てつくような12月の午後2時前、大学の本館にある200人収容の大覚室でのことだ。期末試験直前の重要な講義が行われており、室内はペンを走らせる音以外は一切聞こえない静寂に包まれていた。私は後方の席からノートを取っていたが、その時、教壇でマイクを片手に熱心に板書をしていた女性准教授の様子に明らかな異変が現れた。
年齢は30代半ばの知的な女性。ネイビーのパンツスーツに、白いシルクブラウス、黒の5センチヒールのパンプスを履いていた。髪はすっきりとしたボブカットだった。しかし、講義開始から30分ほど経った頃、彼女は突然黒板に向かって書く手を止め、チョークを握る指先を白く強張らせた。
彼女の額や首筋には、暖房が控えめな室内であるにもかかわらず冷たい脂汗がにじみ、綺麗に施されたファンデーションが剥げてドロドロと流れていた。眉間には深くシワが寄り、きつく噛み締めた唇の端がワナワナと震えている。スーツのパンツの中で両膝をぴたりとくっつけ、お尻の門を限界まで閉じるようにして、細い両脚を不自然なほど密着させてクロスさせていた。踵が交互に床をトントンと静かに叩き、極限の便意と戦っているのが遠目にも明らかだった。
彼女の腸内は、午前中に冷たい牛乳を飲みすぎたのが原因で、猛烈な下痢の波に見舞われているようだった。括約筋はとうに悲鳴を上げており、一歩動くだけで大惨事になるような極限の我慢を強いられていた。「あと40分……何とかこの講義を乗り切るんだ」という必死の交渉が、彼女の強張った背中から伝ってくるようだった。教壇という、全員の視線が集中する社会的な檻が彼女を逃げ出せなくしていた。波が襲うたび、彼女は板書をするふりをして黒板に体を押し当て、腰をわずかに折って耐えていた。
私は彼女の限界状態の様子から目が離せなくなってしまった。パンツの生地越しにも伝わるお尻の強張りと、激しい腹痛による「うっ……」という短い吐息。見てはいけないものを見ているという罪悪感に、私の心臓はバクバクと激しく脈打ち、喉がカラカラに渇いた。
講義が終わるチャイムが鳴った瞬間、彼女は挨拶もそこそこに、極端な内股のまま競歩のような早足で教壇を降りた。廊下へと滑り出し、突き当たりの多目的トイレへと消えていった。今でも静まり返った講義室に入るたび、あの時の冷や汗の匂いと、彼女の限界の表情を思い出して胸がゾクゾクする。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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