通勤中の満員バス
雨が降る朝八時、通勤ラッシュでごった返す路線バスの車内でのことだ。道路は激しい渋滞で、バスは数分に数メートルしか進まない極限状態にあった。 ……その時、私の斜め前に立っていた女性が目に入った。 年齢は二十代半ばくらい、とても清潔感のあるOL風の女性だった。 ライトグレーのトレンチコートの下に、上品なネイビーのタイトスカートを履いている。 足元は黒いパンプスで、手にはブランドもののバッグを大事そうに持っていた。
最初はスマホを見て大人しく立っていた彼女だったが、急にその様子がおかしくなった。 彼女は突然、持っていたカバンを両手で抱え込み、それを下腹部に強く押し当てるようにし始めたのだ。 さらに、タイトスカートの中で、両膝をピタリとくっつけ、内ももを擦り合わせるような仕草を繰り返している。 冷え込みとお腹の不調が重なったのだろう、猛烈な便意に襲われているのは明らかだった。 綺麗にメイクされた顔はみるみる青ざめ、きつく結んだ唇はわずかにワナワナと震えている。
私はスマートフォンの画面を見るふりをして、彼女の様子から目が離せなくなってしまった。 バスは予定時刻を過ぎても一向に次の停留所に着かない。 「あと一駅……いや、この渋滞ではいつ着くか分からない」 彼女は目を固く閉じ、奥歯を噛み締めていた。顎のラインが緊張で強張り、唇は薄く開いてハアハアと熱い吐息が漏れている。 右手でカバンの持ち手を握りしめ、左手は無意識に股間のあたりを強く押さえている。
バスが急ブレーキをかけた瞬間、彼女は「っ……!」と短く悲鳴に似た声を上げ、両手を下腹部に当てて深く前屈みになった。 タイトスカートの生地が限界まで引っ張られ、お尻のラインが強調される。 彼女は両脚をクロスさせ、膝を内側に極端に曲げて、もじもじしながら全身を震わせていた。 見てはいけないと思いながらも、私は彼女の限界の表情と、スカートの裾の揺れに釘付けになり、心臓がバクバクと高鳴るのを抑えられなかった。
ようやくバスが駅前の停留所に到着した瞬間、彼女は他の乗客を押し分けるようにしてバスを飛び出した。 パンプスのヒールが不規則な音を立て、内股のまま引きずるように歩いて近くのビルのトイレへと消えていった。 後ろ姿からは、一歩進むたびに下腹部にかかる凄まじい衝撃と戦っているのが痛いほど伝わってきた。 今でも雨の日のバスに乗るたび、あの時の彼女の張り詰めた吐息と、極限状態で耐えていた太も目の震えが鮮明に脳裏に蘇り、胸が熱くなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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