荒天の湾内フェリー
冷たい秋雨が降る10月の午後3時過ぎ、東京湾を横断するフェリーの展望デッキでのことだ。悪天候のため船体は上下左右に激しく揺れ、波しぶきがガラス窓を叩いていた。私は船内のロビーのソファに座り、激しい揺れに耐えながら、ふと通路の前に立つ女性に目をやった。……その時、普段は冷静に見える上品な女性が、不自然な様子で身を捩っているのが目に入った。
彼女は20代後半ほどの女性で、薄ピンクの長袖ニットに、ロングのプリーツスカート、そしてフラットなスリッポンシューズを履いていた。髪はハーフアップにまとめられ、耳元には小さな星型のイヤリングが飾られていた。しかし、彼女の額からは大粒の脂汗が流れ、ファンデーションが脂汗でじわじわとヨレていた。メイクはヨレて目の周りが黒くにじみ、噛み締めた唇からは赤みが完全に消えていた。両手で手すりを強く握りしめ、下腹部を手すりに押し当てるようにして必死に圧迫していた。
スカートの下の彼女の脚は、内ももをこれでもかと密着させ、両膝を限界まで押し付け合うようにして激しく震えていた。足首を不自然に交差させ、がくがくと震える足を交互に動かしていた。 荒天のため船内のトイレが「排水タンクの調整のため使用不可」の案内が出されており、港に戻るまであと30分以上かかるという絶望的な状況だった。船内には多くの乗客がおり、ここで声を上げて助けを求めることもできず、その社会的檻が彼女をロビーに縫い止めていた。
尿意の波が押し寄せるたび、彼女は「はぁ……っ」と熱い吐息を漏らし、腰を浮かせてお尻を強く締め上げていた。見てはいけないと思つつも、彼女の太ももが限界の緊張でがくがくと震え、プリーツスカートの裾が不自然に揺れる様子から目が離せなかった。私の心臓は早鐘のように打ち鳴らされ、息をするのも忘れるほどだた。彼女の顔は尿意の激痛で歪み、涙で濡れた瞳で窓の外を睨みつけていた。
ついにフェリーが港に接岸した瞬間、彼女は飛び出したが、その脚はがくがくと震えており、手すりにすがりつきながら不自然な内股で待合室のトイレへと消えていった。今でも波の音を聞くたび、あの時の彼女の震える背中と、漂っていた切迫した空気感を思い出して耳の奥が熱くなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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