暴風雨の高速バヌでの悲劇
荒れ狂う大雨が窓を叩く10月の夜9時前、台風の影響で大渋滞に巻き込まれた長距離夜行バスの車内でのことだ。道路は完全に麻痺しており、次のサービスエリアにいつ到着できるか全く見通しが立たないという絶望的なアナウンスが流れた。私は通路側の席に座っていたが、その時、通路を挟んだ窓際席に座っていた女性の様子が異様なことに気がついた。
彼女は20代半ばのOL風の女性。上品なキャメル色のウールコートの下に、白いニットのワンピースを合わせ、茶色のレザーロングブーツを履いていた。髪は後ろでゆるくまとめられ、パールのヘアピンが光っていた。しかし、バスが大きく揺れるたび、彼女はシートの上で何度も姿勢を変え、コートの裾をギュッと掴んでは下腹部に強く押し当てるようになった。
彼女の顔は薄暗い車内灯の下でもはっきりと分かるほど青ざめ、額からは冷たい脂汗がダラダラと流れ落ちていた。汗でマスカラがヨレて目の周りが黒く汚れ、唇は完全に血の気が引いて白くなっていた。ワンピースの裾の中で、両脚をクロスさせ、内ももを激しく擦り合わせながら、全身を小刻みに震わせていた。お腹の中で荒れ狂う猛烈な便意の波に耐えているのは明白だった。
バスの車内トイレはシステムエラーで使用不可となっており、逃げ場のない密閉された社会的状況が、彼女を精神的にも肉体的にも拷問していた。周囲は静まり返っており、声を出すこともできない。彼女は目を固く閉じ、奥歯を噛み締め、呼吸をハァハァと荒くしながら「お願い、早く止まって……」と心の中で祈っているのが、その震える肩から伝わってきた。
私は彼女の極限状態の様子から目が離せなくなってしまった。ワンピースの生地が彼女の臀部の緊張に合わせて震え、お尻の門を必死に閉めているのが分かった。見てはいけないという罪悪感と、彼女の極限状態の気配に、私の心臓はバクバクと激しく脈打ち、喉がカラカラに渇いた。
ようやくバスが最寄りの料金所の臨時スペースに停車した瞬間、彼女は隣の客を押し分けるようにして通路に飛び出した。しかし、歩いた衝撃で限界が来たのか、彼女は一瞬「うっ……」と声を上げて腰を低く落として固まってしまった。両手でお腹を抱え、涙を流しながら内股のまま、這うようにして料金所事務所のトイレへと消えていった。今でも大雨の日にバスに乗るたび、あの時の彼女のワンピースの揺れと、限界の震えを思い出して胸がゾクゾクする。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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