大雨の夕方の路線バヌでの悲劇
冷たい秋雨が降る11月の夕方6時前、通勤ラッシュで超満員となった路線バヌの車内でのことだ。外の雨による大渋滞のため、バスは数分に数メートルしか進まない極限状態にあり、車内は乗客の熱気と濡れた傘の湿気で蒸し風呂のようだった。私は吊り革に掴まっていたが、その時、隣に立っていた女性の様子が異様なことに気がついた。
彼女は20代後半のOL風の女性。桜色のトレンチコートに、白いタイトスカート、黒い薄手のストッキングに上品なヒールパンプスを履いていた。髪はすっきりとしたボブカットだった。しかし、バスがノロノロ運転を続ける中、彼女は突然、吊り革を掴んでいた両手を下ろし、持っていたハンドバッグを強引に下腹部へ押し当てるようにした。
彼女の顔はみるみる土気色になり、額や首筋からは冷や汗が噴き出していた。汗でファンデーションがドロドロに崩れ、頬を伝って落ちている。彼女はパンプスの踵を交互に浮かせるようにして、タイトスカートの中で内ももを激しく擦り合わせながら、全身を小刻みに震わせていた。お腹の中で荒れ狂う猛烈な服痛の波に耐えているのは明らかだった。
彼女の腸は渋滞のストレスと冷えで限界に達しているようだった。しかし、超満員のバスの車内という、逃げ場のない密閉された社会的状況が、彼女を精神的にも肉体的にも拘束していた。次の停留所までどれくらいかかるかも分からず、周囲の乗客と肩が触れ合う距離で、声を出すこともできない。彼女は目を固く閉じ、奥歯を噛み締め、呼吸をハァハァと荒くしながら「神様、お願い……」と心の中で祈っているのが、その震える肩から痛いほど伝わってきた。
私は彼女の限界に達した様子から目が離せなくなってしまった。スカートの生地が彼女の臀部の緊張に合わせて不自然に引き攣れ、お尻の門を極限まで締め付けているのが分かった。見てはいけないという罪悪感と、彼女の極限状態の気配に、私の心臓はバクバクと激しく脈打ち、喉がカラカラに渇いた。
ようやくバスが停留所に止まった瞬間、彼女は乗客を押し分けるようにして降車口へ向かった。しかし、ステップを降りる衝撃で限界が来たのか、彼女は一瞬「うっ……」と声を上げてその場にしゃがみ込んでしまった。両手でお腹を抱え、涙を流しながら内股のまま、這うようにして近くのビルの多目的トイレへと消えていった。今でも雨の日のバスに乗るたび、あの時の彼女のスカートの揺れと、限界の震えを思い出して胸がゾクゾクする。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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