和風旅館の長い廊下での攻防
雪がしんしんと降る一月の午後五時すぎ、歴史ある温泉街の木造旅館の廊下でのことだ。館内は非常に静かで、古い木造建築ならではのギシギシという床鳴りだけが響いていた。私は大浴場からの帰り道、長い廊下を歩いていたが、前方から歩いてくる浴衣姿の女性の様子に、微かな異変が生じたことに気づいた。……その時、彼女の不自然な歩き方が目に入った。
彼女は二十代半ばの宿泊客らしい女性で、宿で借りた薄手の藍色のコットンの浴衣を着用し、足元は素足に木製のゲタを履いていた。髪は温泉上がりのためアップスタイルに留めていたが、その首筋にはだらだらと冷や汗が流れ落ち、浴衣の襟元に染みを作っていた。
彼女は突然、持っていた宿の巾着袋を両手で強く抱え込み、それを下腹部を押し潰すように強く押し当てた。浴衣の裾の中で、素足の内ももをこれでもかと密着させ、両膝を左右に激しくもじもじと擦り合わせいる。湯上がりで油断していた膀胱が、冷たい廊下の空気によって急激に冷やされたのが原因だったのだろう。猛烈な尿意の第一波に襲われているのは明らかだった。顔面からは血の気が完全に引いて白くなり、綺麗に整えていたはずのメイクは冷や汗で崩れ、ファンデーションが浮き上がっているのが至近距離で見えた。
木造旅館の廊下は静かで、ゲタの音がギシギシと響くため、急いで走ることもできないという物理的な檻が、彼女を極限の精神状態へと追い詰めていた。彼女は奥歯を噛み締め、時折「はぅ……っ」と熱く荒い吐息を漏らし、腰を低く落としてお腹を抱え込むようにして必死に尿道の栓を守っていた。
見てはいけないと思つつも、彼女の浴衣の裾の下でがくがくと震える太も目の動きと、限界の仕草から目が離せなかった。私の心臓はうるさく鼓動を刻み、喉の渇きを覚えるほどだた。彼女はゲタのつま先を木製の床に強く押し付け、お尻の筋肉を極限まで締め付けていた。だらら、見ていて胸が熱くなった。
十分が経過した頃、彼女はついに限界を迎えたのか、「あっ……っ」と短い声を漏らし、廊下の途中で動きを止めてしまった。両手で完全に股間を強く押さえ、顔を真っ赤にして必死に耐えている姿は、今でもあの時の彼女の限界の震えを思い出して胸がゾクゾクとする。今でも温泉街の風情ある下駄の音を聞くたび、あの時の彼女の歪んだ横顔と、必死に太ももを擦り合わせていた姿を思い出して胸が熱くなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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