雨の登山道での孤立
初夏の爽やかな六月の日曜日、午後二時前の奥多摩の山岳遊歩道でのことだ。天候は予報に反して急変し、激しい冷たい雨が降り始め、周囲のハイカーたちは一斉に避難を始めていた。最寄りのレストハウスまでは歩いて三十分以上あり、雨風を防ぐ場所は生い茂る木々の下しかない。私は雨具を着て山道を下っていた。……その時、少し先の木陰で立ち往生している若い女性が目に入った。
彼女は二十代前半の可愛らしい女子大生風で、カラフルなナイロンのマウンテンパーカーに、タイトな黒の登山用レギンスとベージュのショートパンツ、そして本格的なトレッキングシューズを履いていた。髪はポニーテールに結ばれ、キャップを被っていた。しかし、雨による急激な体温低下と、飲み干したスポーツドリンクが原因で、彼女の膀胱は完全に限界を迎えていた。
彼女はマウンテンパーカーの裾を両手で強く引き下げ、下腹部を押し潰すようにして立っていた。寒さと尿意による激しい冷や汗が、雨水と混ざり合って彼女の顔を濡らし、メイクがすっかり溶け落ちて白い肌が露出していた。彼女はレギンスの上から両手で股間のあたりを強く挟み込むようにし、内もも同士をこれでもかと密着させ、両膝を左右に激しく揺らしていた。トレッキングシューズの爪先で泥をトントンと不自然に叩きながら、お尻を突き出すような姿勢で必死に耐えている。
「どうしよう、もう無理……」と、彼女の唇はガタガタと震え、青白く変色していた。山道という、防犯面でも社会のルール的にも簡単には用を足せない極限の状況が、彼女を追い詰めていく。尿意の波が押し寄せるたび、彼女の太ももが限界の緊張でがくがくと震え、ショートパンツの裾が不自然に揺れる様子から目が離せなかった。私の心臓はうるさく鼓動を刻み、耳の奥が熱くなった。
彼女はついに耐えかねたのか、意を決して周囲を見回し、人目が切れた瞬間に茂みの奥へとすり足で這い入っていった。今でも雨の山道を歩くたびに、あの薄暗い木陰で震えていた彼女の限界の表情と、冷たい雨の匂いを鮮明に思い出す。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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