乱気流の空の密室
凍えるような一月の木曜日、午後五時過ぎの羽田行きの国内線旅客機の機内でのことだ。着陸の準備に入った直後、飛行機は強い低気圧の影響で激しい乱気流に巻き込まれ、シートベルト着用サインが点灯した。客室乗務員も全員着席し、機内は大きな揺れと不穏なエンジン音が響いていた。最初の異変は、サインが点灯してからわずか五分後に訪れた。下腹部の奥深くで、ツンと突き刺すような鋭い尿意の第一波が走った。
「ベルト着用サインが消えるまであと二十分……それから着陸してゲートに着くまでさらに十五分」と気が付き、頭から冷たい汗が噴き出した。激しい揺れが続く機内でシートベルトが下腹部を強く締め付け、膀胱への圧迫をさらに凶暴なものにしていた。私はその日、オフィスカジュアルの白いブラウスに、タイトな黒の膝丈スカート、そして薄手のストッキングに黒のパンプスを履いていた。髪はすっきりとハーフアップに結んでいたが、尿意の焦燥感と機体の揺れに対する恐怖から全身に噴き出した冷や汗で、背中がじっとりと濡れて皮膚にはりついていた。
機内はしんと静まり返り、乗客たちは険しい表情でシートにしがみついている。尿意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、私の膀胱は決壊寸前の水風船のように膨らんで、下腹部全体に激痛が走った。私はタイトスカートの中で両膝をぴったりとくっつけ、内もも同士を限界まで強く押し当てて震える脚を抑えた。パンプスの爪先を床に押し付け、お尻の筋肉を極限まで硬直させて耐える。顔面からは完全に血の気が引き、土気色になって板。
「お願いだから早く着陸して……」と、頭の中で狂ったように秒刻みの計算を繰り返すが、少しでも体を動かせば尿道が決壊しそうになり、私はシートにしがみついたまま涙目で顔を歪めた。恥ずかしさと、この密室の中で今にも粗相をしてしまうのではないかという恐怖が頭を支配し、心臓は早鐘のように激しく脈打っていた。喉は砂漠のように渇いていた。
ようやく飛行機が着陸し、サインが消えた瞬間、私はお尻をかばうように極端な内股の姿勢で席を立ち、不自然な早足で機内後方のトイレへと駆け込んだ。便座に座り、凄まじい勢いで尿が放出された瞬間の、頭が真っ白になるような圧倒的な解放感は、今でも飛行機に乗るたびによみがえり、股の奥がキュンとすくむ。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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