排泄物語

大理石ロビーの無情なる待機

投稿者: 生成エピソード集(エピソード601〜650)2分で読めます閲覧 1,6444.2(15件)

底冷えする十二月の金曜日、午後五時半過ぎの都内超一流ホテルの吹き抜け大理石ロビーでのことだ。海外からのVIP顧客を迎えるため、私は一人で到着予定の出入り口付近に立っていた。ロビーは非常に広く冷房のような冷気が足元から吹き抜け、私の下半身を容赦なく冷やしていた。最初の異変は、予定時刻の十分前に訪れた。下腹部の奥深くで、つんと突き刺すような鋭い尿意の第一波が走った。

「顧客の車が到着するまであと十分……その後に案内を終えれば席を立てる」と自分に言い言い聞かせたが、それが終わりのない地獄への入り口だった。顧客のフライトが遅れ、いつ到着するか分からない状態で自分の持ち場を離れることはビジネス上絶対に許されないという強烈な社会的圧力が、私をその大理石の床に縛り付けた。私はその日、仕立ての良い黒のテーラードジャケットに、膝丈のタイトな黒ペンシルスカート、そして極薄のストッキングに黒のエナメルパンプスを履いていた。髪はすっきりとシニヨンにまとめていたが、尿意の焦燥感から全身に噴き出した冷や汗で額の生え際が湿り、メイクが脂汗で崩れていくのが自分でも分かった。

ロビーには静かなピアノの生演奏が響いている。尿意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、私の膀胱が決壊寸前の風船のように膨らんで、下腹部全体に激痛が走った。私はタイトスカートの中で両膝をぴったりとくっつけ、内もも同士を強く密着させて震える脚を必死に抑え込んだ。パンプスの踵を交互に上下させながら、大理石の床に不自然な音を立てないようにお尻の筋肉を極限まで締め付けた。タブレットを握る手は冷たく湿り、指先は白く震えていた。顔からは完全に血の気が引き、白く変色していた。

「あと五分、あと十分……」と、頭の中で狂ったように秒刻みの計算を繰り返すが、少しでも体を動かせば尿道が決壊しそうになり、私は背筋を伸ばしたまま涙目で顔を歪めた。恥ずかしさと、この格式高い場所で粗相をしてしまうのではないかという恐怖が頭を支配し、心臓は早鐘のように激しく脈打っていた。喉は砂漠のようにカラカラに渇いて板。

ようやく顧客の車が到着し、挨拶と案内を終えた瞬間、私はお尻をかばう極端な内股の姿勢でロビーを離れ、這うようにしてロビーの奥の化粧室へと消えた。個室の便座に座り、凄まじい勢いで尿が放出された瞬間の、頭が真っ白になるような圧倒的な解放感は、今でも大理石の床を見るたびによみがえる。

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掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。

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