本家の新春に耐える影
雪が舞う1月の元日、午後2時過ぎの本家での親族の集まりでのことだ。広い座敷には親戚一同が並び、暖房が効いた室内で豪華なおせち料理やお酒を囲んでいた。私は廊下に出てお茶のお代わりを用意しようとしていた。……その時、本家唯一のトイレの前で立ち往生している従姉の美咲さんが目に入った。
年齢は20代後半の手落ち着いた女性。お正月らしく上品な薄緑色の訪問着(着物)を着用し、足元は白い足袋に草履を履いていた。髪は美しくアップスタイルにまとめられ、かんざしが揺れていた。しかし、トイレの中から祖父の長い咳払いが聞こえる中、彼女の凛とした様子に明らかな変調が生じ始めた。
彼女は着物の袖を両手でギュッと握りしめ、それを下腹部に強く押し当てるようにし始めたのだ。さらに、草履を履いた両足をぴったりとくっつけ、内ももを激しく擦り合わせるような仕草を繰り返した。お正月力の冷え込みと、何度も注がれたお屠蘇が、彼女の膀胱を急激に刺激したのだろう。綺麗に施されたメイクの隙間から、冷や汗がにじみ出て、こめかみのあたりを濡らしていくのが至近距離で見えた。
親戚たちが賑やかに笑う声が響く中、彼女は「おじいちゃん、まだかな……」と呟きながら、次の瞬間、下腹部を襲った激しい尿意の波に耐えかねて、彼女はビクンと全身を強張らせてその場に固まってしまった。
着物の裾ががくがくと震える太ももの動きに合わせて不自然に揺れ、足袋を履いたつま先が激しく擦り合わされている。両手で帯の結び目あたりを股間に強く押し付け、顔を真っ赤にして涙を浮かべている姿は、見てはいけないと思うのに目が離せなかった。私の心臓はうるさく鼓動を刻み、喉の渇きを覚えた。
彼女は自分の膀胱の限界と、親族に粗相を気づかれる恐怖との狭間で、必死に耐えていた。
しばらくして、トイレのドアが開き、彼女はすり足のような不自然な足取りで、逃げるように化粧室へと消えていった。今でも本家の畳の匂いを嗅ぐたび、あの時のお正月の冷気と、美咲さんの限界の震えを思い出して胸がゾクゾクと熱くなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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