大講義室のささやき
木枯らしの吹く12月の午後3時過ぎ、大学の階段教室で行われた大講義でのことだ。期末試験前の重要な講義とあって、広い教室内は300人以上の学生でほぼ満席となっており、教授の抑揚のない声だけがマイク越しに響いていた。私は中段の席でノートを取っていた。……その時、私の二つ前の席に座っていた女子学生が目に入った。
年齢は20代前後の大学生らしい女性。ベージュのタイトなタートルネックニットに、黒のウールタイトミニスカート、そして黒の80デニールタイツにサイドゴアブーツを履いていた。髪は綺麗に一本のポニーテールに結ばれていた。しかし、講義が後半に入った頃、彼女の様子に明らかな異変が現れた。
彼女はパソコンを打つ手を止め、両膝を限界までくっつけ、内ももを強く擦り合わせながらもじもじと身を捩り始めたのだ。講義室の冷たい空気と、昼休みに学食で食べた冷たい蕎麦が、彼女のデリケートな胃腸を刺激したのだろう。額には冷や汗の粒が浮き上がり、綺麗に整えられた眉は苦しげに八の字に歪んでいた。頬の血の気は完全に引き、薄い唇を強く噛み締めていた。足元はブーツの中で爪先立ちになり、両脚を交互に上下させる動きを繰り返している。
彼女は、猛烈な便意と戦っていた。静まり返った閲覧室のような講義室で、今ここで立ち上がって退席すれば全員の注目を浴びるという社会的な檻が、彼女をその席に縛り付けていた。
便意の波が押し寄せるたび、彼女は「くっ……っ」と熱く荒い吐息を漏らし、腰を低く落としてお腹を抱え込むようにして必死に耐えていた。見てはいけないと思いつつも、彼女のタイツを履いた太ももが限界の緊張でがくがくと震え、ミニスカートの裾が不自然に揺れる様子から目が離せなかった。私の心臓はバクバクと激しく脈打ち、喉が乾いて仕方がなかった。
ついに講義終了のチャイムが鳴り響いた瞬間、彼女は立ち上がろうとしたが、その瞬間に激しい便意の波が襲ったのか、ビクンと全身を強張らせてその場に固まってしまった。両手でお尻を強く押さえ、顔を真っ赤にして必死に耐えている姿は、今でもあの時の彼女の限界の震えを思い出して胸がゾクゾクとする。彼女はすり足のような不自然な足取りで、逃げるように化粧室へと消えていった。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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