喧騒の居酒屋の洗面所
金曜日の夜9時過ぎ、忘年会シーズンで最高潮に賑わう渋谷の居酒屋でのことだ。店内は若者たちの笑い声やジョッキの触れ合う音で騒がしく、熱気とタバコの煙で満ちていた。私は共同トイレの前で順番を待っていた。……その時、私の後ろに並んだ上品な女性が目に入った。
年齢は20代後半のOL風。上品な白のシフォンブラウスに、膝丈のタイトなライトベージュのスカート、そして黒のストッキングに黒の7センチヒールパンプスを履いていた。髪はハーフアップに綺麗にまとめられ、ブランドバッグを持っていた。しかし、前に並ぶ人たちの時間が長引くにつれ、彼女の様子に明らかな変調が生じ始めた。
彼女はバッグを両手でギュッと握りしめ、それを下腹部に強く押し当てるようにし始めたのだ。さらに、タイトスカートの中で、両膝をピタリとくっつけ、内ももを強く擦り合わせるような仕草を繰り返した。忘年会の冷たいビールと、なかなか空かないトイレの状況が、彼女の膀胱を急激に刺激したのだろう。綺麗に施されたメイクの隙間から、冷や汗がにじみ出て、おでこの前髪がベタりと張り付いていくのが至近距離で見えた。
同僚に話しかける彼女の声は微かに震え、きつく噛み締めた唇は完全に血の気が引いて白くなっていた。「ねえ、ちょっと無理かも……」と呟きながら、次の瞬間、下腹部を襲った激しい尿意の波に耐えかねて、彼女はビクンと全身を強張らせてその場に固まってしまった。
パンプスのヒールが床にカツカツと不自然な音を立てて叩き、内股のまま引きずるように立っている。両手でカバンを股間に強く押し付け、顔を真っ赤にして涙を浮かべている姿は、見てはいけないと思うのに目が離せなかった。私の心臓はうるさく鼓動を刻み、喉の渇きを覚えた。彼女は自分の膀胱の限界と、周囲の乗客たちに気づかれる恐怖との狭間で、必死に耐えていた。スカートの裾が、がくがくと震える太も部の動きに合わせて不自然に揺れていた。
しばらくして、個室のドアが開き、彼女はすり足のような不自然な足取りで、逃げるように化粧室へと消えていった。今でも居酒屋のトイレの行列を見るたび、あの時の彼女の限界の表情と、漂っていた切迫した空気感を思い出して胸がゾクゾクと熱くなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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