放課後の体育館裏の攻防
凍てつくような12月の午後5時前、私は木枯らしが吹き抜ける県立高校の体育館で、部活動の片付けを行っていた。他の部員たちはすでに更衣室へと向かっていたが、私は一人でバレーボールのネットを畳む作業をしていた。最初の異変は、冷え切った床板から足の裏を通じて、下半身全体を這い上がってきたズキズキとする下腹部の痛みだった。
昼休みに売店で購入して食べたスパイシーな唐揚げ弁当が、期末テスト後の解放感とこの底冷えする寒さによって急激に私の胃腸を刺激し、不穏な便意の第一波となって襲いかかったのだ。「部室の鍵を閉めて更衣室に戻るまであと10分……そこまで耐えるしかない」と自分と言い交わしたが、それは終わりのない地獄への入り口だた。
私はその日、学校指定の紺色のジャージジャケットに、膝丈のハーフパンツ、そして白のスポーツソックスに体育館シューズを履いていた。髪はポニーテールに結んでいたが、冷え切った館内にもかかわらず、腹痛による冷や汗が額からだらだらと流れ落ち、首元がじっとりと濡れてジャージの襟が皮膚にはりつく。メイクはしていなかったが、あまりの腹痛に顔の血の気は完全に引き、土気色になっているのが自覚できた。
誰もいない広大な体育館の静寂と、早く戸締まりをして鍵を返さなければならないという責任感が、私を肉体的にも精神的にも限界へと追い詰めていく。お腹の激痛が走るたびに、私はハーフパンツの上から両手で股間のあたりを強く挟み込むようにし、内もも同士を強く押し付け合って耐えた。お尻の括約筋を極限まで締め付け、シューズのつま先だけで床をトントンと不規則に叩きながら、お腹の急激な下りに伴う鳥肌が全身の産毛を逆立たせていた。
便意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、下腹部をギシギシと収縮させた。「あと5分、あとモップ掛けだけ……」と、頭の中で狂ったように秒刻みの計算を繰り返したが、一歩動くたびにお尻の奥の門が決壊しそうになり、その場で動けなくなる。
恥ずかしさと、この誰もいない場所で今にも決壊してしまいそうだという恐怖が頭を支配し、心臓は早鐘のように脈打っていた。
ようやく戸締まりを終え、体育館の重い扉を閉めた瞬間、私は不自然な内股のすり足で更衣室へと這いずった。一歩歩くごとに、お尻の奥で熱い塊が出口を求めて激しく自己主張し、涙目で顔を歪めながらトイレへと駆け込んだ。便座に座り、お腹の毒素が一気に流れ出た時の圧倒的な解放感。今でも冬の体育館のワックスの匂いを嗅ぐたび、あの時の冷や汗と恐怖が鮮明によみがえる。
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