嵐のフェリーの逃げ場なき路
寒風が吹き荒れる1月の午後2時過ぎ、瀬戸内海を渡るフェリーの客室でのことだ。波が非常に高く、船体は激しく上下左右に揺れており、客室内には暖房の熱気と混ざり合って息苦しい空気が漂っていた。最初の異変は、出港してわずか20分が経過した頃だった。下腹部の奥深くで、ズンと重くのしかかるような鈍い便意が静かに頭をもたげた。
「次の寄港地まであと1時間……いや、この船にはトイレが付いているはず」と一瞬安心したが、船の激しい揺れのためにトイレに向かう通路が閉鎖されており、船員から「危険ですのでシートベルトを着用したままお待ちください」とのアナウンスが流れたのだ。さらに悪いことに、激しい船酔いによる腹痛が重なり、逃げ場のない便意へと変化したのだた。
私はその日、ゆったりとしたグレーのスウェットワンピースに、厚手のレギンス、そしてムートンブーツを履いていた。髪はリラックスできるようにシュシュで緩くまとめていたが、腹痛による冷や汗で額の生え際からだらだらと汗が流れ落ち、首元の襟元を濡らしていた。船が波を越えるたびに、下腹部に激しい衝撃が走り、私はシートの上で身をよじるようにして耐えた。
便意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、お腹のゴロゴロという不快な蠕動運動がシートを通じて周囲に伝わっているのではないかと気が気でなかった。私はレギンスの上から両手で股間のあたりを強く挟み込むようにし、内ももをこれでもかと密着させながら、お尻の括約筋を極限まで締め付けた。額から流れる汗が目に入ってしみるが、それを拭う余裕すらなかった。顔面は完全に土気色になり、きつく噛み締めた唇からは赤みが消えて白くなっていた。
恥ずかしさと、船内で今にも決壊してしまいそうだという恐怖が頭を支配し、心臓は早鐘のように脈打っていた。暗闇の中で、隣の乗客を起こさないように、かつ自分の尊厳を守るために必死に耐える時間はまるで永遠のように感じられた。
ようやく船の揺れが収まり、トイレへの通路が開放された瞬間、私はシートベルトを外し、不自然な内股の姿勢でドアへと向かった。一歩歩くごとに、お尻の奥で熱い塊が出口を求めて激しく自己主張し、涙目で顔を歪めながら化粧室へ駆け込んだ。便座に座り、お腹の毒素が一気に流れ出た時の圧倒的な解放感は、今でも船の揺れを体感するたびに下腹部の奥をキュンと熱くさせる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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