ビアガーデンの長い影
蒸し暑い7月の夜9時前、都内百貨店の屋上にある大盛況のビアガーデンでのことだ。会社の同僚たちと冷たいクラフトビールを何杯もおかわりし、賑やかに談笑していた。しかし、楽しさの絶頂から一転、下腹部の奥深くでツンと刺すような鋭い尿意の第一波が私を襲った。
冷たいビールを大量に摂取したことと、夜風による足元の冷えが災いし、私の膀胱は急速に限界へと近づいていた。しかし、トイレは階下のフロアにしかなく、しかも金曜の夜とあって大行列ができていることは容易に想像がついた。同僚たちの会話のテンポを乱したくないという社会的な圧力が、私を席に縛り付けていた。
私はその日、お気に入りの薄手の白いリネンワンピースに、素足にローヒールのコルクサンダルを履いていた。髪はサイドでゆるくまとめていたが、腹痛と尿意の焦りから全身から冷たい汗が噴き出し、ワンピースが背中や太ももにじっとりと張り付いていく。メイクはすっかり汗でヨレてしまい、額の前髪が皮膚にべったりと張り付いていた。テーブルの下で、私はサンダルを履いた両脚をこれでもかと密着させ、内もも同士を強く押し付け合って耐えた。足首を細かく交差させ、つま先で床をトントンと不規則に叩きながら、何とか尿道の限界をせき止めようと必死だった。
尿意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、膀胱は決壊寸前の水風船のように膨らみ、下腹部が引き裂かれるように痛む。「次のジョッキが空いたらトイレに行こう」と自分に言い聞かせていたが、尿意の激痛が来るたび、私の背中がビクンと強張り、喉がカラカラに渇いた。恥ずかしさと、同僚たちの目の前で粗相をしてしまうのではないかという恐怖が混ざり合い、耳の奥が熱くなって喉が激しく渇いた。
ようやく席を立ってトイレに向かったが、行列の最後尾に並んだ瞬間、絶望が私を襲った。前に10人以上も並んでいるのだ。並んでいる間、私は両手でバッグを股間に強く押し当て、がくがくと震える膝を内側に折り曲げて、その場で小さく足踏みを繰り返した。個室に入り、温かい水分が勢いよく放出された瞬間の、頭の芯がとろけるような凄まじい解放感。今でもビアガーデンの賑やかな声を聞くたび、あの時の冷や汗の冷たさと、股の奥がすくむような恐怖が鮮明によみがえる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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