生中継のアリーナ、重圧とコルセットの拘束
そしてついに辿り着いたアリーナ公演。客席には一万人のファンがひしめき合い、無数のペンライトが天の川のように揺れている。ライヴは全国に生中継され、何十台ものカメラが私たちを狙っていた。絶対に失敗が許されない完璧な大舞台。それなのに、私は本番前の極度の緊張から、マネージャーが止めるのも聞かずに温かい紅茶を何杯も飲んでしまっていた。カフェインの恐るべき利尿作用が、この神聖なアリーナを私の人生最大の拷問部屋に変えることになるとは知らずに。
この日の衣装は、私たちの集大成とも言える豪華なものだった。幾重にも重なったチュールのスカートに、スワロフスキーがびっしりと埋め込まれたビスチェ。さらにその下には、ボディラインを美しく見せるための補正下着と、何重ものホックがついたコルセットを身につけていた。着脱にスタッフ二人がかりで十分はかかる、完全な「鎧」だ。ステエジ上でスポットライトを一身に浴びる私の髪は、編み込みのアップスタイルにティアラが輝いていたけれど、後半戦に入る頃には、こめかみにべったりと汗が張り付き、唇のグロスは乾ききって引きつっていた。
アンコール前のメドレーに突入した時、それは容赦なくやってきた。下腹部の奥で、パンパンに張った水風船が限界まで膨らみきっている感覚。紅茶のカフェインが完全に利いて、数秒ごとに膀胱が痙攣するように収縮する。ズキッ、ズキッという痛みが走るたび、私は呼吸を止め、内ももの筋肉をガクガクと震わせながら耐えていた。重たいチュールのスカートの中で、両足をXの字に交差させ、下半身の全神経を尿道の出口に集中させる。しかし、コルセットの強力な締め付けが、無情にも膀胱を押し潰し、尿意を何倍にも増幅させていた。
巨大なアリーナの重圧が、私を精神的に追い詰める。カメラの赤いランプが光るたび、全国の何十万という視聴者に自分の姿が映し出されている恐怖で、心臓が早鐘のように打つ。あと三曲。時間にして約二十分。この複雑な衣装を着たままでは、途中でトイレに駆け込むことなんて物理的に不可能だ。ここで漏らしたら、一万人の目の前で、そして全国放送の電波に乗せて、輝くステエジに自分の小便の池を作ることになる。その絶望的な想像が頭をよぎるたび、恐怖で鳥肌が立ち、括約筋の力がフッと抜けそうになる。
メドレーの最終曲。ステエジの端から端まで走り抜ける演出で、私は絶望の淵に立たされた。走る衝撃が、膀胱にダイレクトに響く。一歩踏み出すごとに「タプンッ、タプンッ」と体内で水音が鳴っている錯覚に陥る。私は満面のアイドルスマイルを顔に貼り付けながら、マイクを持たない方の手で無意識にチュールのスカートを握りしめ、股間に押し当てていた。強烈な照明の熱が私を焦がし、冷や汗が背中を滝のように流れる。限界を超えた膀胱から、ついに熱い滴がチョロリとこぼれ落ち、補正下着に染み込んでいくのを感じた。生中継のカメラの目の前で、私は自分の熱いおしっこを漏らしながら歌っていたのだ。
ライヴが終わり、暗転した瞬間に私はその場に崩れ落ちた。スタッフに抱えられて楽屋に運ばれる間も、私は「漏れる、もう出てる!」と泣き叫びながら、ホックだらけの衣装を自分でも引きちぎろうとしていた。トイレの個室に放り込まれ、コルセットを外された瞬間に堰を切ったように溢れ出したあの激しい尿の勢い。一万人の歓声の余韻の中で聞いた自分の排泄音は、どんな大歓声よりも鮮烈に私の脳裏に焼き付いている。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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