排泄物語

閉店後の裏路地で常連の姉さんがやらかしてた話

投稿者: 四番サード自称1分で読めます閲覧 1,8294.7(15件)

うちは駅裏で居酒屋やってんだけどよ、閉店後の片ずけがまた一仕事なんだ。先月の金曜、夜中の1時すぎにゴミ出しで裏路地に出たらよ、電柱の脇に人影がしゃがんでんじゃねえか。酔っ払いが吐いてんのかと思って近づいたら、うちの常連の姉さん(近所の工場のパートで、40は超えてる、いつも焼き鳥とレモンサワーの常客)がスカート押さえて踏ん張ってた。

目が合っちまってよ、向こうは「ごめん大将、駅まで無理だった」って半泣きだ。白い顔。背中が汗でしっとり。聞けば、うちを出たあと駅のトイレさ向かったら夜間閉鎖で、コンビニは行列で、家まで15分の道の途中で波が来ちまったらしい。もう限界だった。電柱の前で5分粘って、脂汗かいて、膝が笑って、それでも駄目だったんだとよ。こういう場面に遭遇するのは店長冥利に尽きるってのは冗談だ。本当のことは、誰かの絶望を見るのはつれえってことだ。

しょうがねえから見なかったことにして店に戻って、店のトイレの鍵と水のペットボトルとおしぼり持って路地の入口に置いといた。「あとは頼まあ」ってな。背中を向けて戻ったから、向こうがどうしたかは知らん。知らんふりが男の責任ってもんだ。それ以上は野暮じゃねえか。

翌朝そこ通ったら、きれいに始末されてて、店の裏の格子におしぼりが洗って掛けてあった。律儀なもんじゃねえか。その日の営業中、姉さんは来なかった。次の週、顔を出してくれた。「大将、この前は……」って言い出したから、「なんのことだ」って笑ってやったよ。

誰が悪いって、締めに味噌ラーメン食わせた俺かもしれねえけどよ。でも姉さんが選んだのさ。それをわかってるから、責める気にもなれない。次の週、姉さん普通の顔して飲みに来て、レモンサワー頼んでたぜ。大人ってのは図太いもんじゃねえか。

― この話は、これにて ―

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掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。

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