排泄物語

看板の消し忘れで戻ったら店の前が現場になってた

投稿者: 四番サード自称1分で読めます閲覧 4,1803.4(17件)

12月の忘年会シーズンの話だ。うちの店も連日満席でよ、その日も閉店が夜中の1時半までずれ込んだ。片ずけ終えて家に帰る途中でよ、電飾看板消し忘れたのに気づいて店まで戻ったんだ。師走の風が刺さる、夜中の2時ちょい前よ。

そしたら店の入口の脇、ビールケース積んである陰でよ、女が二人しゃがみこんでやがった。街灯の明かりでよく見えたぜ。二人とも20代半ばってとこか。片方は明るい茶髪の巻き髪にファーのついた白いコート、もう片方は黒のロングヘアにミニスカート、どっちも高いヒール履いてよ、クラブ帰りか合コン帰りって風体だ。

茶髪の方はもう出来上がっちまってて、立ってらんねえのか壁に手ついて、内また絞ってもじもじ揺れてんだ。連れの黒髪が「ここでしちゃいなよ、誰も見てないから」なんて言ってやがる。俺の店の前じゃねえか。

声かけるわけにもいかねえしよ、道の反対側の自販機の陰で看板消すタイミング待つしかねえ。茶髪の姉ちゃん、一度しゃがみかけて、やっぱり駄目って立ち上がって、スカートの裾握って空を仰いでよ。だがすぐ次の波が来たんだろうな、腰が段々落ちてって、最後は観念したみてえにビールケースの陰に完全に隠れた。俺は自販機の前で息止めて突っ立ってたぜ。心臓がやけにうるせえのが自分でも分かった。

数秒の静けさのあと、ジャーッと景気のいい音が夜中の路地に響きやがった。長え。止まらねえ。どんだけ溜めてたんだよってくらいの勢いで、12月の冷えた空気に湯気の気配まで漂ってきそうだった。連れは連れでゲラゲラ笑ってよ、「めっちゃ出てんじゃん」なんて囃してやがる。

二人が千鳥足で駅の方さ消えたあと、俺は店からバケツ持ち出して3杯の水で店の前を流したね。朝までに凍ったら客が滑って危ねえからよ。看板は消したけどよ、なんか色々消したい夜だったぜ。

今でも忘年会シーズンに看板消す時、あの白いファーのコート思い出すんだよな。酒ってのは大人をああも素直にしちまう。恐ろしいもんじゃねえか。

― この話は、これにて ―

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掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。

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