排泄物語

湯あたりした夜、旅館の廊下で私に起きたこと

投稿者: 圏外の温泉宿1分で読めます閲覧 1,0323.8(5件)

これは私自身の、忘れられない失敗談でございます。3年前の冬、雪見の露点風呂、いえ露天風呂が自慢の旅館に泊まりました折、調子に乗って夕食前に2回、夕食後に1回と湯を頂きすぎたのです。贅沢な時間。温泉の気持ちよさ。でも、その代償。夜中の2時頃、湯あたりと冷えた身体のせいでしょう、強烈な尿意で目が覚めました。目がぱっちり。心臓がどきんと。

お部屋にお手洗いのない古い造りの宿で、廊下の突き当たりまで20メートルほど。丹前を羽織って廊下に出ますと、板張りの床が氷のように冷たくて、その冷たさが引き金になりました。足の裏からの冷気。膀胱が縮む。我慢のメカニズム。あと5歩というところで、堪えきれずに少し漏らしてしまったのです。

41歳にもなって、と情けなさで涙が出ました。その廊下の突き当たりで泣いた。恥ずかしさと悔しさと、自分の身体への戸惑い。すぐにトイレに入って片付けましたが、その時の気持ちは忘れられない。加齢とはそういうもの。予想外。

幸い浴衣の裾で誰にも知られず、朝までに手洗いして乾かしましたが、あの晩の廊下の冷たさは今でも足の裏が覚えております。冬の深夜の旅館の廊下。その特殊な冷気。人間の身体への問い。以来、宿選びは「部屋にトイレ付き」が絶対条件でございます。そうすることで、少し安心が得られる。それだけで十分。

― この話は、これにて ―

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掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。

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