排泄物語

紅葉のバスツアー、渋滞3時間で車内が静かな戦場になった話

投稿者: 圏外の温泉宿1分で読めます閲覧 6594.7(6件)

昨年の11月、紅葉で有名な渓谷への日帰りバスツアーに参加した時のことでございます。朝6時出発、予定では14時帰宅。行きは順調でしたのに、帰路の山道で事故渋滞に捕まりまして、次のトイレ休憩まで3時間動かないという事態になりました。ラジオが延々と渋滞情報を流してた。あと10キロ。あと8キロ。減った速度。

車内には50代60代のご婦人が多く、最初は皆さま余裕の世間話でしたが、1時間を過ぎた頃から、車内が妙に静かになってまいりました。みんな内に籠もる。ゆっくり膝をすり合わせる。顔は前を見たまま。1時間半で、空気が変わった。それは感じられた。

私も昼食時の温泉水がすっかり膀胱に届いておりまして、膝の上のガイドブックを握りしめるばかり。ページをめくる余裕さえなかった。そのガイドブックを握ることで、自分を保つ。ついに前方の席の奥様が添乗員さんに申し出て、バスは路肩に停車。背に腹はかえられません。そういう時ですね。

運転手さんが「お急ぎの方はどうぞ」と、ガードレールの外の茂みを案内してくださいました。その瞬間、車内の空気が変わった。開放感。7、8人のご婦人が列を作って茂みに消えていく光景は、なんとも言えないものでした。私も4番目に並びました。ええ、背に腹はかえられません。その時点で、恥ずかしいなんて言ってられない。膀胱が全て。

茂みの中、風が吹いてた。誰も何も言わない。ただ順番を待つ。出てくる人、入る人。それだけ。紅葉より記憶に残る露点、いえ露天の用足しでございました。本当に。

― この話は、これにて ―

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掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。

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