9階の女子化粧室、朝10時の個室争奪戦を14年目の総務が観察した記録
総務歴14年になりますと、オフィスビルのトイレ事情には自然と詳しくなります。当社が入る9階の女子化粧室は個室が3つ。対して同フロアの女性社員は42名。この比率が何を生むか、皆さまご想像の通りです。朝礼の後は特に、廊下に小さな渋滞が生まれるのが常でございます。
特に朝10時台は魔の時間帯でございます。通勤と朝のコーヒーを経て、皆さま一斉に「大きい方」の用事を思い出されるのです。先日も書類のコピーで席を立った際、化粧質の前で貼り付いたように待つ営業部の女性を拝見しました。スーツにヒール、肩にはブランド物らしきトートバッグ、髪はきっちりとお団子にまとめた30代前半の方でした。普段は隙のない身なりの方だけに、その日の落ち着きのなさが余計に目立っておりました。
3室とも使用中。中からは物音ひとついたしません。廊下の空気だけが妙に張り詰めておりました。
皆さま、隣に人がいると音を出せない病を患っておいでなのです。彼女は壁際で軽く体重を左右に移し替え、時折お腹のあたりに手を添えては、眉間に小さく皺を寄せておられました。片方の踵が浮いたり沈んだりを繰り返すのが、こちらまで落ち着かない気持ちにさせられます。待つ方も限界、籠る方も出るに出られず、ドアの前で無言の膠着が5分。最終的に彼女は諦めて、エレベーターで11階の共用トイレへ向かわれました。歩き方が明らかに小股になっていたのを、私は見なかったことにいたしました。
あの階段を使わずエレベーターを待つ判断、腹圧的に正しかったのか、今でも気になっております。なお総務としましては、増床時のトイレ増設要望を毎年出しておりますが、経営層(全員男性)には7年連続で却下されております。会議のたびに「利用実態を数値で」と言われるので、来年は本気で滞留時間を計測しようかと考えております。
切実さが伝わらないのは、彼らが並ばずに済む側だからでしょうね。来年こそは資料に写真つきで実態を訴える所存です。あの営業部の方が11階から戻ってきた時の、憑き物が落ちたような表情も忘れられません。
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